〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

映画 読書

「平成大家族」一緒にご飯を食べていても

【タチアオイ】 「平成大家族」 中島京子 著 集英社 2008年 1,680円 72歳の元歯科医・その妻・長男・妻の母が暮らす家に、長女一家3人と訳あり次女が戻ってくる。そしてさらに人数が増えて大家族になってしまう。 次々に起こる問題、破産・離婚・不登校・ヒ…

「石ころだって役に立つ」--「本」と「物語」に関する記憶の「物語」

【エゴノキ】「石ころだって役に立つ」 関川夏央 著 集英社 2002年 1,365円 高度成長期時代に著者が読んだ「本」と「物語」を自分の青春の中に重ねたエッセイ。やはり、題名となったフェデリコ・フェリーニ監督の「道」が印象深い。 母親から、口減らしのた…

「この世界の片隅に (上)」すずの新しい世界

【雨上がり-ドウダンツツジ】 「この世界の片隅に (上)」 こうの史代 著 双葉社(コミック) 2008年 648円+税 戦争中の広島が舞台。絵を描くことが好きなのんびりやの少女「すず」が主人公。「冬の記憶」「大潮の頃」「波のうさぎ」の短編三部が彼女の思い…

『裸足の女 吉野せい』 山下多恵子 著

【『裸足の女 吉野せい』表紙】 『裸足の女 吉野せい』を読む -「啄木の息」管理者 山下多恵子 著 未知谷 出版 2008年 2,000円+税 詩人・三野混沌と結婚し、愛した文学を捨て、過酷な開墾生活に入った吉野せい。夫の死後70歳を過ぎ、筆を執りはじめた…。稀有…

『エアバスA380 まるごと解説』話題の巨人機のすべて

【モックアップ展】 <背もたれが薄い A380型機日本路線就航記念座席> 『エアバスA380 まるごと解説』 秋本 俊二著 ソフトバンククリエイティブ出版 2008年 1,000 円 昨年10月、オール2階建て、世界最大の旅客機エアバスA380が世界初就航した。その開発から…

『消えたカラヴァッジョ』るきさん似?

【イチョウの芽吹き】 『消えたカラヴァッジョ』 ジョナサン・ハー 著 田中靖 訳 岩波書店 2007年 2200円+税 天才画家・カラヴァッジョの作品「キリストの捕縛」は長い間行方不明だったが、1990年、アイルランドの教会で見つかった。 なぜそんなところに……果…

「マーティ」アカデミーもカンヌも受賞

【ナノハナ】 「マーティ」Marty 監督 デルバート・マン 出演 アーネスト・ボーグナイン ベッツィ・ブレア エスター・ミンチオッティ、ジョー・デ・サントス 1955年 アメリカ 容姿に自信のない肉屋の男性が主人公。30歳を超え、母親とふたりで暮らしている。…

もっと走れ!『日本人よ!』イビチャ・オシム 著

【ハナニラ】 『日本人よ!』 イビチャ・オシム 著 長束恭行 訳 新潮社 2007年 1200円+税 2007年6月、アジアカップ直前に書いたオシム元監督の“日本人へのメッセージ”である。 サッカーとは、人生である。人生で起こることは、すべてサッカーでも起こる。人…

「波のうえの魔術師」プータローが巨大銀行に挑む

【満開の桜】 「波のうえの魔術師」 石田 衣良 著 文春文庫 2005年 500円 相場師の老人がプータローの青年を見つけ、秘書として雇うところから話は始まる。 「なぜ、おれだったんですか」と問う青年に老人が答える。「パチンコ店のまえに並んだ人々のなかで…

「家日和」人間いたるところ青山

【ジンチョウゲの花】 「家日和」 奥田 英朗 著 集英社 2007年 1,470円 家にまつわる短編集。どれもよい。 気に入りは「ここが青山」。36歳の妻子ある男性が主人公だ。会社が突然倒産し、妻にそのことをメールする。妻は「ふうん。わかった。今夜、何食べる?…

ライオンのしっぽは…「としょかんライオン」

【ミツマタ】 「としょかんライオン」 ミシェル・ヌードセン 著 ケビン・ホークス 絵 福本 友美子 翻訳 岩崎書店 2007年 1680円 「きまりを守るなら、ライオンだって図書館に来ていいよ」という太っ腹の図書館長がいた。ライオンが館内を歩き回っても、みん…

「愛されるために、ここにいる」私は愛されていないのでは……

【レンテンローズ】 「愛されるために、ここにいる」 監督・脚本 ステファヌ・ブリゼ 出演 パトリック・シェネ アンヌ・コンシニ ジョルジュ・ウィルソン リオネル・アベランスキ シリル・クトン 2005年 フランス 主人公は法務執行官をしている中年の男性。…

SF大河ロマン「大奥」第三巻

【ロウバイ】 「大奥」第三巻 よしながふみ 著 白泉社 2007年 620円 大奥は全員男──の第三巻。 世継ぎのできない家光に、春日局は別の男を何人も連れてくる。引き離された有功と家光は、離されれば離されるほど精神的に繋がる。しかし、それが二人の苦悩を増…

詩を書き継ぐ「私」谷川俊太郎詩集

【弥生三月雛祭】 「私」谷川俊太郎詩集 谷川俊太郎 著 2007年 1,575円 「自己紹介」 “私は背の低い禿頭の老人です” 始めの一行に捕まった。 「さようなら」 “私の肝臓さんよ”と呼びかける。腎臓さん、膵臓さん、心臓さん、脳髄さんと続く。“私はこれから死…

「母べえ」未来ではなく、いま!

【ウメ・白梅】 「母べえ」 監督 山田洋次 出演 吉永小百合 浅野忠信 檀れい 志田未来 佐藤未来 坂東三津五郎 笑福亭鶴瓶 でんでん 中村梅之助 戸田恵子 倍賞千恵子 大滝秀治 2007年 日本 日中戦争の頃、ドイツ文学者の夫と、その妻と二人の娘が楽しく暮らし…

「明日へのチケット」長距離列車の旅で

【ミツマタの蕾】 「明日へのチケット」TICKETS 監督 ケン・ローチ 、 アッバス・キアロスタミ 、 エルマンノ・オルミ 出演 マーティン・コムストン カルロ・デッレ・ピアーネ フィリッポ・トロジャーノ ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ 2005年 イタリア/イ…

「シャンプー台の向こうに」こんなヘアスタイルはいかが?

【ハクジュマル(白珠丸)】 「シャンプー台の向こうに」 Blow Dry 監督 バディ・ブレスナック 出演 アラン・リックマン ナターシャ・リチャードソン ジョシュ・ハートネット レイチェル・リー・クック レイチェル・グリフィス ウォーレン・クラーク 2000年 …

「しゃべれども しゃべれども」大切なものは…

【好きなもの?】 「しゃべれども しゃべれども」 勝田文 著 佐藤多佳子 原作 白泉社 2007年 533円+税 若手落語家・今昔亭三つ葉が、落語教室を開くハメに…。生徒は、気の強い女性、関西弁の小学生、 テニスのコーチ、元プロ野球選手など。落語家としても未…

「もしも昨日が選べたら」どうしよう!

【万能リモコン?(劇場の天井)】 「もしも昨日が選べたら」 監督 フランク・コラチ 出演 アダム・サンドラー ケイト・ベッキンセール クリストファー・ウォルケン デヴィッド・ハッセルホフ ジュリー・カヴナー ショーン・アスティン 2006年 アメリカ 主人…

「キャッチボール屋」10分百円、のんびりしませんか。

【飛行船】 「キャッチボール屋」 監督 大崎章 出演 大森南朋 キタキマユ 寺島進 松重豊 光石研 水橋研二 内田春菊 庵野秀明 三浦誠己 康すおん 峰岸徹 キム・ホジョン 2005年 日本 主人公(30代の男)は、突然会社からリストラされた上、記憶も失った。ボー…

「長江哀歌」河の中に妻の住む家があった

【マグ・中国】 「長江哀歌」〈ちょうこうエレジー〉原題「三峡好人」 監督・脚本 ジャ・ジャンクー(賈樟柯) 出演 チャオ・タオ ハン・サンミン ワン・ホンウェイ リー・チュウビン マー・リーチェン チョウ・リン ホァン・ヨン 2006年 中国 1993年に着工…

「椿三十郎」“押入れ侍”に笑う

【椿・シロワビスケ】 「椿三十郎」 監督 森田芳光 出演 織田裕二 豊川悦司 松山ケンイチ 鈴木杏 村川絵梨 佐々木蔵之介 風間杜夫 西岡徳馬 小林稔侍 中村玉緒 藤田まこと 2007年 日本 藩重職の汚職に怒って社殿に集まった若侍たち。偶然その話を立ち聞きし…

「イグアナの嫁」160cmのイグアナと暮らす

【ハスの実】 「イグアナの嫁」 細川貂々 著 幻冬舎 2006年 1,260円 貧乏で病気をかかえた夫婦が、巡り合わせでイグアナを飼った。 生活は一変する。 「人生のたいせつなことは、すべてイグが教えてくれた」とまで言う。身長15cmが160cmにも成長、夫婦もそれ…

’このミス’大賞「チーム・バチスタの栄光」

【新春 薦被り樽酒】 「チーム・バチスタの栄光」(上)(下) 海堂尊 著 宝島社文庫 2007年 500円+500円 大学医学部付属病院では、心臓「バチスタ手術」の成功が続いていた。ところが、術中死が発生する。不定愁訴外来責任者(ヒーロー)が内部調査を押し付け…

映画「スマイル 聖夜の奇跡」

【クリスマスツリー】 「スマイル 聖夜の奇跡」 監督・原作・脚本 陣内孝則 出演 森山未來 加藤ローサ 岡本杏理 立花裕大 田中好子 高樹沙耶 谷啓 坂口憲二 森公美子 松重豊 モロ師岡 RIKIYA 原田夏希 塚本高史 玉木宏 飯島直子 原沙知絵 佐藤浩市 寺島進 20…

「サラエボの花」 愛についての映画

【神保町の交差点】 「サラエボの花」 原題 Grbavica 監督 ヤスミラ・ジュバニッチ 出演 ミリャナ・カラノヴィッチ ルナ・ミヨヴィッチ レオン・ルチェフ ケナン・チャティチ 2006年 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ=オーストリア=ドイツ=クロアチア ボスニア紛…

「倚りかからず」…倚りかかるとすれば


【山の炎】 「倚りかからず」 茨木のり子 著 筑摩書房 1999年 1890円 倚りかからず じぶんの二本足のみで立っていて なに不都合のことやある 倚りかかるとすれば それは 椅子の背もたれだけ 思わず背筋が伸びる。 ユーモアあふれる言葉もたくさんある。 “あ…

「英語コンプレックス 脱出」あなたには ありますか?

【ヤマハゼ】 「英語コンプレックス 脱出」 中島義道 著 NTT出版 2004年 1365円 かつて、欧米を崇拝し欧米に対しコンプレックスを抱く日本人がいた。しかし、豊かな国となった日本は欧米崇拝を…………。「コンプレックスの克服とは相手に勝つのではなく、優劣を…

「ALWAYS 続・三丁目の夕日」

【サネカズラ】 「ALWAYS 続・三丁目の夕日」 監督 山崎貴 原作 西岸良平 出演 吉岡秀隆 堤真一 小雪 堀北真希 もたいまさこ 三浦友和 薬師丸ひろ子 須賀健太 上川隆也 2007年 日本 「ALWAYS 続・三丁目の夕日」昭和34年春。高度経済成長の波に鈴木オートも…

「反自殺クラブ  池袋ウエストゲートパーク V」

【モミジ】 ブクロにいけばマコトがいる… 「反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク V」 石田 衣良 著 文春文庫 2007年 520円 風俗の世界の少女たち・集団自殺を呼びかけるサイト・中国の死の玩具工場……。飛び込んでくる事件にブクロのマコトが関わっていく…