〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「椿三十郎」“押入れ侍”に笑う

【椿・シロワビスケ


椿三十郎

藩重職の汚職に怒って社殿に集まった若侍たち。偶然その話を立ち聞きした浪人が、若侍たちの手助けをすることになるが……。
浪人のように、一歩離れて話を聞くと本当のことが見えてくる……は、実感する。
リーダーとしての三十郎の魅力も、織田裕二さんの雰囲気とぴったりマッチする。城代の奥方と娘の、他とテンポのちがう会話が快くおかしい。松ケンも頼りなくカワイイ。
汚職家老の家来が、若侍たちに捕まり押入れに閉じ込められる。この“押入れ侍”は、奥方に許されて押入れの前でご飯を食べたりする。また、彼にすれば敵にあたる椿三十郎を「あの人は良い人です!」なんて言う。役者は佐々木蔵之介さん。端正な顔でパントマイム・ダンスしたり、真面目にやればやるほどおかしさが増す。


“過去は捨てる”
山本周五郎の原作も黒澤明監督の三船敏郎も全て捨てて、この作品を観た・・つもり。
十分、楽しめた。