〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「愛されるために、ここにいる」私は愛されていないのでは……

【レンテンローズ】


愛されるために、ここにいる

主人公は法務執行官をしている中年の男性。医師に運動を勧められてタンゴ教室に通う。そこには自分の結婚式のために踊りを習っている女性がいた。男性には同じ仕事を始めた息子と、介護施設にいる高齢の父がいて……。
三世代の登場は、歴史と人生の流れを早送りで見せてくれる。男がこだわった学生時代の優勝トロフィーの行方もお見事!
言葉でうまく伝えられる人とそうでない人、そのもどかしさや哀しさをタンゴのメロディが浮かび上がらせる。


多くのことを語らず、しかし、ときめく心が美しい。