〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「家日和」人間いたるところ青山

ジンチョウゲの花】


「家日和」

  • 奥田 英朗 著 集英社
  • 2007年 1,470円

家にまつわる短編集。どれもよい。
気に入りは「ここが青山」。36歳の妻子ある男性が主人公だ。会社が突然倒産し、妻にそのことをメールする。妻は「ふうん。わかった。今夜、何食べる?」と返信してきた。妻は翌日から前の勤めに復帰し、夫はエプロンをして朝食を作る。
家事について夫婦で話し合いはしなかったが、暗黙の了解でこんな形になった……と、ある。“夫婦はカガミ”というがこの二人もまるで互いを映している。
男性は初めのうち、できないことが多かった。しかし、料理・弁当作り・掃除・洗濯・息子を連れての公園デビューと果敢に挑戦し・・・。


1話目「サニーデイ」の、ネットオークションにはまる主婦も鋭い。「家においでよ」も描かれる男性群像がいい。