【弥生三月雛祭】
「私」谷川俊太郎詩集
- 谷川俊太郎 著
- 2007年 1,575円
「自己紹介」
“私は背の低い禿頭の老人です”
始めの一行に捕まった。
「さようなら」
“私の肝臓さんよ”と呼びかける。腎臓さん、膵臓さん、心臓さん、脳髄さんと続く。“私はこれから死ぬところだが”“君らと別れて”──身軽になりすっぴんになっていく、清々しい清さ。
「未来の仔犬」
“ぼくを愛してくれる未来の仔犬が
岬の一軒家のテラスでしっぽをふっている
あいつに会える日がくるまで
ぼくはまいにち日記を書きつづける”
表紙に書かれた「私」という題字は、大岡信さんの書。美しい!