【神保町の交差点】
「サラエボの花」 原題 Grbavica
- 監督 ヤスミラ・ジュバニッチ
- 出演 ミリャナ・カラノヴィッチ ルナ・ミヨヴィッチ レオン・ルチェフ ケナン・チャティチ
- 2006年 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ=オーストリア=ドイツ=クロアチア
ボスニア紛争から12年、首都サラエボに母と娘が暮らしている。生活は厳しく、母はナイトクラブや服の仕立てで働きづめだ。12歳の娘は修学旅行を楽しみにしているが旅費が足りない………。
重い内容ではある。しかし、雪降る街・厳しく暖かい仕事場・いじめもあるが友情も恋もある学校・母の愛・子の愛などが交錯して美しい。
サッカー日本代表のオシム監督が、脳こうそくで倒れる3日前にこの映画を紹介した。その言葉が岩波ホールの壁に掲示してあった。「……我々、グルバヴィッツァの住人は、かつてサラエボのこの地区が、すべての者がともに共存し、生活を営み、サッカーをし、音楽を奏で、愛を語らえる象徴的な場所であったことを決して忘れない…」
オシム監督の生まれ故郷グルバヴィッツァ(Grbavica)が原題になっている。
娘役のルナ・ミヨヴィッチが伸びやかで強かで美しかった。