〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

作品に登場する啄木

『橋のない川』<その5> そんな啄木のしあわせが羨ましかった…

[狐の嫁入り] 《作品に登場する啄木》 『橋のない川』 住井すゑ 新潮社 (《海酸漿》つづき) <その5> 孝二はふとんにうつ伏せた。孝二は思いきり泣きたかった。けれども啄木がその歌でうたっているように孝二には泣けない。孝二は、 死ぬまでに一度会は…

『橋のない川』<その4> 「畑中が石川啄木の歌集を持ってるの、知ってるけ?」

[氷の花] 《作品に登場する啄木》 『橋のない川』 住井すゑ 新潮社 (つづき) <その4> 《海酸漿》 貞夫と恒太郎は神功皇后を祀る社殿のうしろで弁当をひろげた。緑一色の耕地の中に点在する家々の白壁。四すじのたて縞のように盆地を走る葛城、曾我、飛…

『橋のない川』<その3> 自分の思いどおりに歌うたら、それ、やっぱり歌け。

[シードラゴン] 《作品に登場する啄木》 『橋のない川』 住井すゑ 新潮社 (つづき) <その3>ところで放課後、学級日誌を記入する孝二を、貞夫は今日も教室の片隅で待ち合わせていたが、 「孝やん、ここに、ええのがあるで。」と、歌集のとある頁をゆびさ…

『橋のない川』<その2> 一人かくれて “一握の砂" の頁をくった

[運搬船] 《作品に登場する啄木》 『橋のない川』 住井すゑ 新潮社 (つづき) <その2>貞夫もひととき一緒に笑っていたが、 「もう一つまねして作ったろか。“一度でも我に頭を下げさせし 人みな死ねと いのりてしこと” というのを、“一度でも我を小森と嘲…

『橋のない川』<その1> 一握の砂、てなんやネ。

[ミツマタ] 《作品に登場する啄木》 『橋のない川』 住井すゑ 新潮社 <その1> 第二部 《竹馬 一》 この手紙といっしょに送る歌集は、豊さんがくれたもので、作者の石川啄木という人も、幸徳秋水に心を傾けていた一人やそうです。こういう歌なら、お前はん…

『ひとりたび一年生』啄木が気に入っていた へんてこな狛犬

[『ひとりたび一年生』花巻温泉編] 《作品に登場する啄木》 『ひとりたび一年生』 たかぎなおこ メディアファクトリー (P.061)そしてそのあと石川啄木が気に入っていたへんてこな 狛犬があるという神社に行ってみることにしました けっこう遠くて少し迷っ…

『約束の冬』「啄木の歌碑? 観に行きたいとは思わないわ」

[シロミノコムラサキ] 《作品に登場する啄木》 『約束の冬』上・下 宮本輝 文藝春秋 (下巻 P.140)「裏切り者ってのは、血判状に名をつらねたやつのなかから出るのよ」 小巻は言って、自分の軽自動車のドアをあけ、 「さあ、これから小樽の街の観光スポット…

『スペース』石川啄木はほとんど無視されていますね

[ユズリハ] 《作品に登場する啄木》 『スペース』 加納朋子 東京創元社 (P.85)色々なところを見学していて思ったのですが、岩手では宮澤賢治がこれだけ大切にされているのに引き替え、石川啄木はほとんど無視されていますね。もちろん、歌碑くらいはあるん…

『うちにはムーちゃんが…』東海の小島の磯の白砂に

[うちにはムーちゃんがいる] 《作品に登場する啄木》 『うちにはムーちゃんがいる』 照丘真弓 メディアファクトリー (コミックエッセイ) (P.116) ムーちゃんと岩手旅行に行ったのですが 時間がなくて石川啄木記念館に行けず 帰ってからなんとなく 石川啄…

『青春の門』<その2- 終> 非凡なる人のごとくにふるまへる…… 啄木

[ヌルデ] 《作品に登場する啄木》 『青春の門』第三部 放浪篇 五木寛之 講談社 改訂新版 <その2- 終>〈啄木と馬鈴薯〉つづき(P.238) (西沢)「(中略) 世の中には、早く本を読みすぎた人間の不幸、ってものがあるんじゃないかね。おれたち普通の人間…

『青春の門』<その1> 自分よりも年若き人に半日も…… 啄木

[ガマズミ] 《作品に登場する啄木》 『青春の門』第三部 放浪篇 五木寛之 講談社 改訂新版 <その1> 〈啄木と馬鈴薯〉(P.234) 西沢はちょっと沈黙したあと、無精ひげを指でなでながら、また話しはじめた。 「死ぬなら函館で死のうと思う──なんて、啄木は…

『本棚から猫じゃらし』啄木は憧れの人…私の青春を返してほしい

[アザミ] 《作品に登場する啄木》 『本棚から猫じゃらし』 群ようこ 新潮文庫17冊目 石川啄木「ローマ字日記」 <惚れると不幸になる男>(P.193) ちょっとした心の隙間に女性をいれて、自ら枠にはまってしまって苦悩した男性もいる。石川啄木もそういった…

『ウエザ・リポート』石川啄木も徘徊したという、あの砂山…

[キツリフネ] 《作品に登場する啄木》 『ウエザ・リポート』 宇江佐真理 PHP研究所 <砂山>(P.116) とりわけ、胸を締めつけられるような気持ちになったのは砂山の景色だった。かつて、私の通っていた中学校の近くに砂山があった。 そう、石川啄木も徘徊し…