〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

作品に登場する啄木

藤沢周平 - 4 <「ふるさとの かの路傍のすて石よ…」啄木の歌を思い出させる村道一本> (おわり)

[イヌタデ] 《作品に登場する啄木》 『ふるさとへ廻る六部は』 藤沢周平 新潮文庫 平成20年 ◉変貌する村 自動車道 村の胃ぶくろは大きくて丈夫で、たいていの変化は時間をかけさえすればゆっくりと消化して自分のものにしてしてしまう。十年ほど前から取沙汰…

藤沢周平 - 3 <啄木の短歌がなぜ人びとに好まれるのか、その理由に突きあたった>

[敷石] 《作品に登場する啄木》 『ふるさとへ廻る六部は』 藤沢周平 新潮文庫 平成20年 ◉啄木展 記憶がうすれてしまったが、東京・武蔵野市吉祥寺のT百貨店で、石川啄木展がひらかれるということを、私は多分取っている東京新聞で知ったのだと思う。啄木展の…

藤沢周平 - 2 <啄木は、大人過ぎるほどの大人だった>

[ツリバナマユミ] 《作品に登場する啄木》 『ふるさとへ廻る六部は』 藤沢周平 新潮文庫 平成20年 ◉岩手夢幻紀行(つづき) ×月×日 車はやがて花巻 I・C を降り、東北新幹線寄りの小高い丘、胡四王山に建つ宮澤賢治記念館に着いた。 それはすばらしい記念館…

藤沢周平 - 1 <教壇の上に袴姿の啄木が見えた>

[ガラス障子] 《作品に登場する啄木》 『ふるさとへ廻る六部は』 藤沢周平 新潮文庫 平成20年 ◉岩手夢幻紀行 ×月×日 およそ三時間で盛岡に着いた。 今日の日程は、ホテルに荷物をおいて日のあるうちに啄木の故郷渋民村に行って来ることである。 車は台地から…

「花子とアン」に登場の柳原白蓮が記した「啄木のこと」

[コアカソ] 「啄木のこと」 宮崎白蓮 「文藝」昭和30年3月臨時増刊 石川啄木讀本 いつか何かに書いてあつた、真実立派な芸術品を創作する人は、適当な身の不遇さと、貧しさがなければいけないとーー。啄木を考える時、この人の不遇さ、貧しさは芸術の神の恩…

湯川秀樹と石川啄木 石川啄木讀本

[ヤブラン] 「文藝」昭和30年3月臨時増刊 石川啄木讀本 巻末アンケートより 湯川秀樹 1 あなたは啄木の文學をお好きですか? 1A 歌が特に好きです。2 あなたの好きな啄木の歌は? 2A 「命なき砂の悲しさよ……」「さいはての驛に下り立ち……」3 あなたはいつ頃…

「花子とアン」で注目の“柳原白蓮”と石川啄木

[キンミズヒキ] 「文藝」昭和30年3月臨時増刊 石川啄木讀本 巻末アンケートより 柳原白蓮1 あなたは啄木の文學をお好きですか? 1A 好きです。2 あなたの好きな啄木の歌は? 2A 働らけど働らけどなほわがくらし楽にならざりじつと手を見る。3 あなたはいつ頃…

「港文館」の前に石川啄木の銅像… ニッポンぶらり旅

[モクレンの棒に綿菓子] サンデー毎日 (2014年2月23日号) ニッポンぶらり旅/第173回 釧路(4) 「啄木、海の冬月」太田和彦 幣舞橋の南詰めから波止場に続く脇道の二階建て煉瓦洋館「港文館」は、明治四十一年築・旧釧路新聞社の復元だ。前に石川啄木の銅像…

とうかいのう、小島のう、磯のう、『津軽』太宰 治

[ハクモクレン] 《作品に登場する啄木》 『津軽』 太宰 治 岩波文庫 2004年 三 外ヶ浜 「歌を一つやらかさうか。僕の歌は、君、聞いた事が無いだらう。めつたにやらないんだ。でも、今夜は一つ歌ひたい。ね、君、歌つてもいいたらう。」 「仕方がない。拝聴…

石川啄木関連・大学入試問題 解答

[ユリノキ] 神戸学院大入試問題解答 問1 B 問2 B 問3 A

大澤真幸『啄木を通した9.11以降ーー「時代閉塞」とは何か』---石川啄木関連・大学入試問題 2007年

[スノウドロップ] 神戸学院大学 入試問題 2007年◎ 次の文章は、大澤真幸『思想のケミストリー』<啄木を通した9.11以降ーー「時代閉塞」とは何か>の一部である。これを読んで、後の問に答えよ。論文「時代閉塞の現状」に対しては、しばしば、大逆事件の影響…

「ぢつと」見つめる手の指は、きっと白くて繊細

[メタセコイア] 《作品に登場する啄木》 『貧乏するにも程がある 芸術とお金の“不幸"な関係』 長山 靖生 著 光文社新書 第四章 貧乏な上に破滅型 石川啄木 ここからは、作家タイプ別に「経済問題の傾向と対策」を考えてゆきたい。 貧乏な作家や詩人は数知れ…

その晩、洪作は啄木の歌を二首おぼえた 『しろばんば』

[ヤツデ] 《作品に登場する啄木》 『しろばんば』 井上靖 著 新潮文庫、2004年 五章 (つづき)旅館には客らしい者のすがたは見えなかった。そのくらいだから浴場はまったくふたりのものだった。犬飼は風呂につかりながら大きな声で歌をうたった。 ──東海の…

「知らない !? おどろいた。啄木も知らないの。」 『しろばんば』

[カゴノキ] 《作品に登場する啄木》 『しろばんば』 井上靖 著 新潮文庫、2004年 五章 その間に、蘭子は啄木の歌を知っているかときいた。そんな人の名まえは、もちろん、洪作にははじめてのものだった。 「知らないな。」 「まあ、知らない !? おどろいた。…

〈何となく、今年はよい事あるごとし。元日の朝晴れて風無し。〉啄木。

[ハナゾノツクバネウツギ] 《作品に登場する啄木》 『NIE 新聞で自由研究 家庭で学ぶ新聞活用』 妹尾 彰著 晩成書房、2009年 ◎ コラムで学ぼう 《天声人語 2009年1月1日(木)付》 歴史の不思議の一つは、世が乱れると、まるで天に意思があるかのように英雄…

『内館牧子の艶談・縁談・怨談』啄木も故郷に憎悪の感情を持ちながら・・・

[アカツメクサ] 《作品に登場する啄木》 『内館牧子の艶談・縁談・怨談』 内館牧子 潮出版社、2008年 第14話「鉛」-故郷の空は嫌い- 力尽きた時、彼女が帰ったのは故郷だった。毛嫌いした裏日本の町だった。 以来、私とはもとより。もっと親しかった友人たち…

教科書の中の石川啄木

[フェイジョア] 高等学校 国語教科書 平成26〜29年度用 現代文A──歴史の中の青春 「青春文学名作選」 教育出版 10 短歌 一握の砂 石川啄木 東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる 頬につたふ なみだのごはず 一握の砂を示しし人を忘れず 砂山…

池澤夏樹『母なる自然のおっぱい』---石川啄木関連・大学入試問題

[花筏] 龍谷大学 入試問題 2007年 池澤夏樹『母なる自然のおっぱい』 -概略- ◎ 次の文を読んで、問いに答えなさい。 元気でありたい、長命でありたいとは誰しも願うところだが、これがなかなかむずかしい。 もともと「健康」の健は「すこやか」ということで…

教科書の中の石川啄木

[ハクセキレイ] 高等学校 国語教科書 平成25年度用所収◎ 石川啄木短歌 第一学習社 たはむれに母を背負ひて そのあまり軽(かろ)きに泣きて 三歩あゆまず 友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ みぞれ降る 石狩(いしかり)の野の汽…

桑田佳祐 “声に出して歌いたい日本文学”

[花を買ひ来て] 『桑田佳祐 LIVE TOUR 2012 I LOVE YOU -now & forever-』横浜アリーナ 2012-12-31 WOWOW 年越しLIVE“声に出して歌いたい日本文学〈Medley〉” (ロック・オペラに編み上げた 近代の日本文学10作品)中原中也・高村光太郎・太宰治・与謝野晶…

『初飛行』日本の文学作品中最も鮮烈な飛行機の作品

[旧陸軍所沢飛行場のジオラマ -所沢航空発祥記念館-] 《作品に登場する啄木》 『初飛行 ― 明治の逞しき個性と民衆の熱き求知心』 村岡 正明 光人社NF文庫 2010 明治四十四年六月九日は、不時着した好敏と伊藤や仰天した農民にとってばかりでなく、明治天皇や…

《解答》青山学院大学入試問題

[スズメガヤ] 《前回の解答》 青山学院大学 教育人間科学、文 平成21年 「弓町より──食うべき詩」石川啄木 ◎ 解答 【 イ 】

「弓町より──食うべき詩」---石川啄木関連・大学入試問題

[ 雲 (クマの兄弟げんか)] 青山学院大学 教育人間科学、文 平成21年 「弓町より──食うべき詩」石川啄木 -概略- ◎ 次にあげるのは、石川啄木の評論「弓町より」の中の文章「食うべき詩」の一部である。よく読んで後の問に答えよ。 「食うべき詩(くらうべき…

《解答》武蔵大学入試問題

[ゼフィランサス] 《前回の解答》 武蔵大学 人文・経済 平成13年 俵万智 「『石川啄木詩集 あこがれ』解説」◎ 解答 啄木が取り組んだものに、短歌と詩と小説がある。小説は、力が入り過ぎて失敗した。短歌は、その力を抜いて作ったので、魅力的である。力が…

俵万智『あこがれ』解説」---石川啄木関連・大学入試問題 

[ヒルガオ] 武蔵大学 人文・経済 平成13年 俵万智 「『石川啄木詩集 あこがれ』解説」 -概略-◎ 次の文章を読んで、後の問に答えよ。 啄木は、小説を書きたい人だった。それは彼の日記や評論を読むと、よくわかる。 「私は小説を書きたかった。否、書くつもり…

啄木って女々しい! 賢治は気持ち悪い!

[ドクダミ] ○週刊朝日 2012年7月27日号 「暖簾にひじ鉄」内館牧子(連載コラム No.545)啄木派 VS. 賢治派 「岩手県民って、石川啄木派と宮沢賢治派が居酒屋で口論するんだよ。…普通のオジサンやオバサンが口角泡を飛ばして、啄木が一番、賢治が一番ってやっ…

『ガン50人の勇気』病みてあれば心も弱るらん

[ベニバナヤマボウシ] 《作品に登場する啄木》 『ガン50人の勇気』 柳田 邦男 (著) 文藝春秋 < しなやかな心 >(P.73) 白血病のため十一歳で亡くなった横浜市の宮上裕君の日記『おにいちゃんは一ばんぼし』(創芸社)は、そういう中でも広く知られた記録…

『女たちのジハード』「こころよく 我にはたらく仕事あれ…」は、女たちの呻吟

[カリン] 《作品に登場する啄木》 『女たちのジハード』 篠田節子 集英社文庫 2000年 《解説》 ヒロインたちへの共感 ──こころよく、我にはたらく仕事あれ 田辺聖子 …… これは現代女性への強力な応援歌でもあり、ゆたかな示唆であろう。現代、女性の職場は拡…

『橋のない川』<その7>-終 啄木は、ふるさとの山はありがたきかな、と歌ったが…

[大正ガラス] 《作品に登場する啄木》 『橋のない川』 住井すゑ 新潮社 (つづき) <その7>第五部 《落花の賦》孝二たちは夕日にきらめく校舎の窓をうしろに、やがて大橋を西に越えた。 西の山なみ──金剛、葛城、二上、生駒は、きょうもその存在のままを…

『橋のない川』<その6> かにかくに坂田の里は恋しかり 似非啄木

[スダジイ] 《作品に登場する啄木》 『橋のない川』 住井すゑ 新潮社 (つづき) <その6>第三部 《影踏み》 孝二はおぼえている。 新しき明日の来るを信ずといふ 自分の言葉に 嘘はなけれど── 歌集 “ 悲しき玩具 ” に収められている啄木の歌だ。 孝二もや…