〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

子規も一葉も啄木も結核に苦しんだ

ススキ

「国民病」だった結核、ついに低蔓延国に 高齢化・都市化乗り越えて

 日本国内で2021年に「結核」との診断を受けた人は1万1519人で、10万人あたり10人を初めて割り込んだ。かつては「不治の病」として恐れられたが、戦後は特効薬の登場や低栄養の改善が進んだ。近年は高齢者の患者がなかなか減らなかったが、国がめざしてきた「低蔓延(まんえん)国」の水準についに達した。

  • 治療法がない時代には、診断を受けると、ゆっくりと死への道を進む病気として多くの人が苦しんだ。俳人歌人正岡子規(1867―1902)は、20代前半から結核に苦しんだ。
  • 小説家の樋口一葉歌人石川啄木結核にかかり、20代半ばで亡くなっている。
  • 現在の感染者の多くは高齢者だ。2000年以降、85歳以上の患者が一気に増え、患者全体の3分の1を占める。患者に占める外国人の割合も増えている。00年は2%だったが、20年には11%となっている。その多くは日本で働く20代だ。
  • 世界の総人口の約4分の1がすでに結核に感染しており、毎年150万人が亡くなる。患者の約半数は低中所得国だ。国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」は、2030年までに世界的な結核の流行の終息を目標に掲げている。(後藤一也、神宮司実玲) 

(2022-08-30 朝日新聞

 

「国民病」だった結核、ついに低蔓延国に 高齢化・都市化乗り越えて:朝日新聞デジタル

 

 

 

「石川啄木賞」に神奈川県内の高校生が輝いた 全国高校生短歌大会

ズミ

自立迫られる「オトナ禍にいる」 17歳の表現に啄木賞 短歌甲子園

  • この夏、高校生が短歌の表現力を競う全国高校生短歌大会(短歌甲子園)が盛岡市であり、大会中最も先鋭的な短歌を詠んだ作者に与えられる「石川啄木賞」に神奈川県内の高校生が輝いた。初出場の県立光陵高文芸部3年の小野愛加さん(17)。個人戦の優秀作品賞も、同3年の山田千鶴さん(18)が射止めた。
  • 小野さんは、「禍」の題で詠んだ一首が、大会で詠まれた約300首の中から最も高く評価され、啄木賞に選ばれた。
     《心だけ十八歳に追いつかず「自立」の蔓延(はびこ)るオトナ禍にいる》
  • もうすぐ「18歳成人」を迎える小野さんは「今、自分に降りかかっている『禍』は何だろう」と考えて歌づくりを進めた。成人年齢の引き下げで、親の同意がなくてもクレジットカードを作れ、ローンも組めるといったことに伴って、「自立」を求められている今の境地を、「コロナ禍」ならぬ「オトナ禍」という造語で表現した。
  • 山田さんは「隣」の題で競った個人戦で受賞した。
     《隣席の君の寝息に気付いたらミュートしていく授業、雨の音》
  • 授業中、ふと隣の席の君の寝息に気付き、先生の話や雨の音さえも自らミュートして寝息に耳を傾けてみる――。そんな学校生活の一場面を歌にした。
    (進藤健一)
    (2022-08-29 朝日新聞

 

自立迫られる「オトナ禍にいる」 17歳の表現に啄木賞 短歌甲子園:朝日新聞デジタル

 

 

 

尾崎豊さんと 最初に話の接点になったのが石川啄木だった

イヌタデ

Special

<インタビュー>須藤晃 ~15にまつわる話 Vol.4「15の夜」~

この号(bbl MAGAZINE Vol.177)が出る8月は、ビルボードライブが日本に上陸してから15周年を迎えるアニバーサリーマンス。そんな記念すべき今号の周年連載にご登場いただくのは音楽プロデューサー・作家の須藤晃さん。尾崎豊さんの「15の夜」にまつわるエピソード。ビルボードライブへの想い。そして祝・15周年のメッセージを寄稿していただきました。

 


  • ビルボードライブ東京が十五周年を迎えた。それなりに関わりがあり、感慨深い。それでこの機会に何かお祝いの言葉をいただけませんかと提案されて、色々と考えたが、今回は「十五周年」の「15」という数字にまつわる話をしたいと思う。
  • 尾崎豊の「15の夜」はよく知られた彼のデビュー曲だ。僕自身にとっても45年ほどプロデュースに関わった作品の中でも特に印象深い曲だが、これに関しての話を少ししたい。
  • 一回りも違う尾崎さんとの関係で、最初に話の接点になったのが石川啄木だった。僕は石川啄木になりたいと思って田舎で本ばかり読んでいた男で、彼は父親の影響で短歌に強い興味をもっていた。で、啄木の話をしていくうちに、「不来方(こずかた)のお城の草に寝転びて空に吸われし十五の心」という代表作に触れた。空に吸われていく思春期の安定感のない心情に僕らは惹かれていた。この辺りの会話が「15の夜」や「卒業」の歌詞に強く反映されているわけである。デビュー曲を決めるときに僕はこの作品を押した。コマーシャルぽさがないから売れはしないだろうけれど、僕らが作品を作り出していく原点にはふさわしいなどと若気の至りで思ったわけである。

(JAPAN billboard

 

https://www.billboard-japan.com/special/detail/3639

 

 

 

「新詩壇の天才 本社員啄木石川一氏は 逝去せり享年廿七」東京朝日新聞

クマヤナギとサンショウ

(メディア空間考)有名人の死亡記事 時代で移ろう文体、衰えぬ関心

  • ニューヨーク・タイムズが報じた100人の死亡記事」(河出書房新社)という本がある。19世紀以降の死亡記事をまとめたものでアインシュタインマリリン・モンローら読み応えある顔ぶれだ。文体や社会観の移ろいも興味深い。
  • では、朝日新聞の死亡記事はどう変遷しているのだろうか。紙面データベースで過去110年余の文化人の死亡記事をたどってみた。
  • 明治に世を去った歌人石川啄木。「新詩壇の天才として将来に望を嘱せられたる本社員啄木石川一氏は久しく肺患にて治療中なりしが(略)逝去せり享年廿七」と始まり、「一握の砂は清新の調と奔放の才を発揮せり」(1912年4月14日付、東京朝日新聞)とある。
  • 冷静に考えると、直接は見ず知らずの人の死に感慨を抱くのは不思議なことだ。それでもメディアで見聞きした有名人は遠い存在に思えない。死亡記事は「メディアによって広がった個人の世界」を象徴するように感じている。(三橋麻子)

(2022-08-27 朝日新聞

 

(メディア空間考)有名人の死亡記事 時代で移ろう文体、衰えぬ関心:朝日新聞デジタル

 

 

 

ドナルド・キーン氏は最後の著書「石川啄木」を軽井沢にて執筆

タケニグサ

ドナルド・キーンの作品を生んだ軽井沢の「十坪の庵」、ゆかりの地で生誕100年展 

 日本の文学と文化を生涯、世界に紹介したドナルド・キーン(2019年死去。享年96歳)は、軽井沢(長野県)に山荘を持ち、半世紀以上にわたり、毎年夏をここで過ごした。山麓の深い緑と静寂の中にたたずむ、山荘というより庵といった風情のわずか10坪(約33平方メートル)の純日本風家屋。(編集委員 森太)

・「理想的な避暑地」43歳で山荘を持つ

・軽井沢の雨の不思議な力「徒然草」を英訳

最初に手がけたのは、「徒然草」の英訳。
キーン氏はその後もこの庵を拠点に、三島由紀夫の「サド侯爵夫人」の英訳、「忠臣蔵」などの古典、最後の著書となった「石川啄木」の執筆まで多くの作品を残した。そして、散歩を楽しみ、軽井沢で夏を過ごした文豪や来客、地元の人々との交流を深めた。

・キーン誠己さんとの思い出

 特別展は、10月10日まで。期間中は無休。開館時間は午前9時から午後5時まで。詳しくは、軽井沢高原文庫の ホームページ へ。 
(2022-08-25 読売新聞)

 

ドナルド・キーンの作品を生んだ軽井沢の「十坪の庵」、ゆかりの地で生誕100年展 : 読売新聞オンライン

 

 

 

いざ、石川啄木と歴史探訪へ! 「札幌・函館・小樽」めぐり

ヘクソカズラ

市制百年 札幌・函館・小樽をめぐる

8/26(金)午後7:57~北海道100年都市ものがたり「札幌・函館・小樽」語り:土田玲央

今年、市制施行100年を迎えた北海道の6都市。 「北海道100年都市ものがたり」では、放送を前編と後編に分け、街の発展の歴史と街を支えてきた人々のドラマを描きます。

前編でご紹介するのは札幌・函館・小樽。 かつてこの3つの都市を訪れた歌人石川啄木と一緒に、NHKアーカイブ映像をはじめとする貴重な昔の映像に触れながら100年の物語を探訪しましょう!

    北海道100年都市ものがたり「札幌・函館・小樽」
   8月26日(金)午後7:57~〔総合〕※北海道ブロック 

【語り】土田 玲央(つちだ れいおう) 声優・北海道北見市出身

【出演】佐久間 泉真(さくま もとまさ)俳優・石川啄木


・いざ、石川啄木と歴史探訪へ!

1922年。札幌・函館・小樽・旭川・室蘭・釧路の6つの町が北海道で初めて市となりました。

前編の3都市をつなぐのは、歴史上の人物 石川啄木

啄木が明治末期に北海道を渡り歩いたこと、皆さんは知っていましたか?
放送では、そんな石川啄木を案内訳に札幌・函館・小樽を巡ります。

・漁業とともに生きた街 函館

・自然と都市が隣り合う町 札幌

    「美しき北の都」「詩人の住むべき都会なり」

啄木がそう残した札幌。
北海道一の大都市ですが、今も都会のすぐ近くに豊かな自然が残っています。
しかしかつては発展していく街の一方で、汚されていく自然の姿も。

・運河と紐解く歴史 小樽

  

後編 北海道100年都市ものがたり「旭川・室蘭・釧路」の放送は、来週9月2日(金)午後7:57~[総合]北海道ブロック
(2022-08-25 NHK札幌局)

 

8/26(金)午後7:57~北海道100年都市ものがたり「札幌・函館・小樽」語り:土田玲央 | NHK北海道

 

 

 



 

「平田オリザ的 啄木・賢治論」 盛岡 10/15

ワレモコウ

青年団日本文学盛衰史』関連企画 平田オリザ講演会 

・チケット発売日:令和4年9月4日(日)9時から整理券配布

・開催日:令和4年10月15日(土)

・時間:18時30分~20時00分(開場18時)

・入場料:無料(要整理券) ※定員90名

・場所:盛岡劇場 タウンホール

 

盛岡市文化振興事業団設立25周年記念事業
青年団日本文学盛衰史」関連企画

平田オリザ講演会
平田オリザ的 啄木・賢治論 ~『日本文学盛衰史』に向けて~」

石川啄木宮澤賢治も登場する「日本文学盛衰史」がより楽しめる、平田オリザによる近代文学論。

 

青年団『日本文学盛衰史』関連企画 平田オリザ講演会- 盛岡劇場・河南公民館

 

 

 

小樽ゆかりの多喜二・啄木・直哉・実篤・朔太郎を中心に企画展 小樽文学館 〜9/25

サルナシ

第2弾小樽に残した文豪の足跡 市立小樽文学館

  • 市立小樽文学館(色内1・亀井志乃館長)では、文豪転生シュミレーションゲーム「文豪とアルケミスト」の5周年を記念し、タイアップ企画「第2弾小樽に残した文豪の足跡懐かしい人々」を、9月25日(日)まで開催している。
  • 2018(平成30)年10月の第1弾に続き、6月25日(土)から、小樽ゆかりの小林多喜二石川啄木志賀直哉武者小路実篤萩原朔太郎5体のキャラクターパネルを、DMM GAMESの協力で、等身大に印刷し展示。
  • 細かい調査を行い、伊藤整小林多喜二石川啄木を中心に、小樽にはこんな有名な文豪たちとの関わりを改めて知る良い機会となっている。
  • 石川啄木と親交のあった若山牧水と交流のあった小田観蛍、多喜二が愛読していた武者小路実篤は、小樽に住む初恋の人を訪ねていたり、多喜二が尊敬していた志賀直哉の短編小説「荒絹」には、多喜二自筆の署名が入っている。
  • 期間中、小林多喜二石川啄木のオリジナルクリアファイルを発売。

    9月25日(日)まで。

(2022-08-21 小樽ジャーナル)

 

第2弾小樽に残した文豪の足跡 市立小樽文学館

 

 

 

 



 

夭折の歌人に比べ 東京五輪・パラリンピックの裏側は……

     

              コアカソ

産経抄

  • 石川啄木は自ら著した歌論の中で、「一秒がいとしい」とつづった。一瞬、一秒の哀歓苦楽を逃すことなく書き留めるには「形が小さくて、手間暇のいらない歌が一番便利なのだ」と。三十一文字を表現の足場とする「歌人」は、天職だったろう。
  • 先の歌論とほぼ同時期に出た『一握の砂』に味わい深い一首がある。〈こころよく/我にはたらく仕事あれ/それを仕遂げて死なむと思ふ〉。限りある時間を惜しみ、身を削るようにして詠んだ跡がうかがえる。この歌の翌々年、啄木は短い生涯を閉じた。没年26。
  • 夭折(ようせつ)の歌人に比べ何という落差だろう。東京五輪パラリンピックの裏側で、時間を巡る暗闘が逮捕者を生んだ。関連商品を急ぎ製造、販売したいスポンサーの紳士服大手と、依頼を受け大会組織委員会に諸々(もろもろ)の審査を急がせたとされる元理事の贈収賄事件である。
    (2022-08-21 産経新聞

 

【産経抄】8月21日 - 産経ニュース

 

 

 





 

 

 

大谷翔平の胸中を 啄木の歌を借りて表現すれば……

トウモロコシ

大谷、働けど働けど…

逆風順風

  • はたらけどはたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざり……。どれだけ投げて打ってもチームは借金生活、というエンゼルス大谷翔平の胸中を、ふるさと岩手の歌人石川啄木の歌を借りて表現すればそんなところか。
  • メジャーに移籍して以来昨季までの4年、まだワールドシリーズへと続くポストシーズン出場はない。
  • 窮乏から逃れられなかった啄木と違い、大谷には住む家を代えるという手がある。移籍だ。今季のトレード期限を前にして、移籍が取り沙汰された。あのとき、勝てる球団へ移れていれば、ポストシーズンの活躍を楽しめたのに。
  • 誰より、大谷自身が安易に勝ち馬に乗ることを潔しとしない気配がある。絶望的な状況でも捨て鉢にならないところに、自分の力でチームを引き上げよう、との気概がのぞく。
  • 啄木の歌の最後は「ぢつと手を見る」。大谷がじっと見るのは何か。それが将来の移籍先候補のリストであれば、まだ救われる気がするが、大谷はエンゼルスという家を見限るでもなく、自分の手を見ている感じ。切ないけれど、我々もじっと見守るしかない。

(篠山正幸)

(2022-08-18 日本経済新聞

 

大谷、働けど働けど…: 日本経済新聞