〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「新詩壇の天才 本社員啄木石川一氏は 逝去せり享年廿七」東京朝日新聞

クマヤナギとサンショウ

(メディア空間考)有名人の死亡記事 時代で移ろう文体、衰えぬ関心

  • ニューヨーク・タイムズが報じた100人の死亡記事」(河出書房新社)という本がある。19世紀以降の死亡記事をまとめたものでアインシュタインマリリン・モンローら読み応えある顔ぶれだ。文体や社会観の移ろいも興味深い。
  • では、朝日新聞の死亡記事はどう変遷しているのだろうか。紙面データベースで過去110年余の文化人の死亡記事をたどってみた。
  • 明治に世を去った歌人石川啄木。「新詩壇の天才として将来に望を嘱せられたる本社員啄木石川一氏は久しく肺患にて治療中なりしが(略)逝去せり享年廿七」と始まり、「一握の砂は清新の調と奔放の才を発揮せり」(1912年4月14日付、東京朝日新聞)とある。
  • 冷静に考えると、直接は見ず知らずの人の死に感慨を抱くのは不思議なことだ。それでもメディアで見聞きした有名人は遠い存在に思えない。死亡記事は「メディアによって広がった個人の世界」を象徴するように感じている。(三橋麻子)

(2022-08-27 朝日新聞

 

(メディア空間考)有名人の死亡記事 時代で移ろう文体、衰えぬ関心:朝日新聞デジタル