〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「石川啄木賞」に神奈川県内の高校生が輝いた 全国高校生短歌大会

ズミ

自立迫られる「オトナ禍にいる」 17歳の表現に啄木賞 短歌甲子園

  • この夏、高校生が短歌の表現力を競う全国高校生短歌大会(短歌甲子園)が盛岡市であり、大会中最も先鋭的な短歌を詠んだ作者に与えられる「石川啄木賞」に神奈川県内の高校生が輝いた。初出場の県立光陵高文芸部3年の小野愛加さん(17)。個人戦の優秀作品賞も、同3年の山田千鶴さん(18)が射止めた。
  • 小野さんは、「禍」の題で詠んだ一首が、大会で詠まれた約300首の中から最も高く評価され、啄木賞に選ばれた。
     《心だけ十八歳に追いつかず「自立」の蔓延(はびこ)るオトナ禍にいる》
  • もうすぐ「18歳成人」を迎える小野さんは「今、自分に降りかかっている『禍』は何だろう」と考えて歌づくりを進めた。成人年齢の引き下げで、親の同意がなくてもクレジットカードを作れ、ローンも組めるといったことに伴って、「自立」を求められている今の境地を、「コロナ禍」ならぬ「オトナ禍」という造語で表現した。
  • 山田さんは「隣」の題で競った個人戦で受賞した。
     《隣席の君の寝息に気付いたらミュートしていく授業、雨の音》
  • 授業中、ふと隣の席の君の寝息に気付き、先生の話や雨の音さえも自らミュートして寝息に耳を傾けてみる――。そんな学校生活の一場面を歌にした。
    (進藤健一)
    (2022-08-29 朝日新聞

 

自立迫られる「オトナ禍にいる」 17歳の表現に啄木賞 短歌甲子園:朝日新聞デジタル