ケセン語で『啄木のうた』、短歌を土地言葉に “翻訳”
大船渡の女性らが協力し一冊に
- 大船渡市の女性たちが “方言指導者” として協力した『東北おんば訳 石川啄木のうた』(未來社刊/税抜き1800円)が、このほど発売された。啄木が残した短歌100首が、ケセン語によって生き生きとよみがえるとともに、これまでにない歌の解釈や味わい方まで引き出されている。
- 全国の読者にも分かりやすいよう、書名には便宜上「東北」と記されているが、実質的には完全なる「ケセン語」訳。年長の女性たちに対する親しみと尊敬を込め、「おんば」という語もタイトルに加えられた。
- 「おんば訳」によると、本紙の紙名の由来にもなった有名な歌「東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて蟹とたはむる」は、
「東海(ひんがす)の小島(こずま)の磯(えそ)の砂(すか)っぱで おらぁ 泣ぎざぐって 蟹(がに)ど戯れっこしたぁ」となる。
- 啄木の歌は、青春の胸の痛みや孤独な内面といった内容から愛唱されることも多く、本人についても、ナイーブさや “気取り屋” な面が強調されがちだが、おんば訳には、生活に根差した目線と、どこか骨太なたくましさとが漂う。
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