〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 「登山の日」〈ふるさとの山に向かひて言うことなし

「天鐘」 [デーリー東北]

  • 〈ふるさとの山に向かひて言うことなし ふるさとの山はありがたきかな〉。啄木が子供の頃、渋民村(現盛岡市)から仰ぎ見た岩手山を詠んだ歌だ。故郷の山は子をいたわる母の如し。ただ「ありがたい」の一言に尽きる。
  • 太宰治岩木山を「したたるほど真蒼で富士山よりもっと女らしく、十二単衣の裾をぱらりとひらいて―」(小説『津軽』)と妖艶な美女に喩えた。故郷の山はその大小にかかわらず何物にも代え難い存在である。
  • 今日は「登山の日」。登山家のバイブル『日本百名山』の著者、深田久弥の愛読書はスタンダール著『パルムの僧院』だった。アルプスの山麓グルノーブルからパリに出て来た著者は「高い山がない」と嘆いて花の都を嫌悪したという
  • 東北の山々は間もなく紅葉本番。八甲田は山頂が見頃で中腹が5割。今週にはピークを迎えるらしい。久しぶりに登ってみるか―。

(2017-10-03 デーリー東北)


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