〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 混迷する政治を打ち破るカギ 「地図の上 朝鮮国にくろぐろと」

長野)「理想主義」この機会に立ち止まって考えたい

  • 松代大本営など「戦争と平和」をテーマに多くの作品を発表している児童文学作家、和田登さん=長野市在住=は今回の衆院解散に暗澹(あんたん)たる思いを抱く。そして、混迷する政治や世界を打ち破るカギを、「理想主義」と考える。

  「地図の上 朝鮮国にくろぐろと 墨を塗りつつ秋風を聴く」

  • 安倍晋三首相が臨時国会の冒頭で衆院を解散した9月28日、和田さんの頭をよぎったのは、石川啄木が1910年の韓国併合の直後に作った歌だった。和田さんは「日本の権力者に対する啄木の怒り」を表していると解す。そして、「朝鮮国」を「日本国」に置き換えたい衝動にかられたという。
  • 悲観ばかりはしていられない。世界中で「自国第一主義」が強まっている現代こそ、「理想主義」に思いを巡らすときではないか、と説く。憲法が争点となる今回の選挙は、その好機とみる。
  • 「『人間としてどうなんだ』と問われると、人は少し立ち止まって考えるものです。そうすると、思考も発展する。この選挙を、そんな機会としたい」(北沢祐生)

(2017-10-02 朝日新聞


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