〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

石川啄木が明治44年の元日に詠む

天鐘 -デーリー東北-

  • 〈何となく 今年はよい事あるごとし 元日の朝 晴れて風無し〉。石川啄木明治44年の元日に詠んだ句である。今年の元旦も晴れて寒くなく、風のない過ごしいい元朝だった。何となくよい事がありそうな―。
  • 晦日(おおみそか)の翌朝だけなのに元旦は心身共にリセットされたような気になる。吉田兼好も『徒然草』で昨日も今日も変わらぬ朝なのに、元朝は「ひきかへめずらしき心地ぞする」(気分が清々(すがすが)しく一新する)と記した。
  • 初日を拝んでお屠蘇(とそ)を飲み静かな元日が過ぎてリセットも完了。そんな夕暮れ時を芥川龍之介は〈元日や 手を洗ひをる 夕ごころ〉と詠んだ。三が日も今日で終わり。明日は仕事始めである。

(2016-01-03 デーリー東北)

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