〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「新会長インタビュー・池田功さん」国際啄木学会


[ツリフネソウ]


○学芸インタビュー
 国際啄木学会の新会長「池田 功さん」


  視点広げ再発見へ 若い愛好者増目指す

  • 「啄木を愛することに関しては、誰にも負けないつもりでいる。啄木研究をもっと深め、より多くの人たちに素晴らしさを訴えるために努力していきたい」。1989年に設立され、26年目を迎えた国際啄木学会会長としての抱負を語る。
  • 今後の方針を「会の歴史を継承しつつ、これまでにない地域での大会やセミナー開催、他の研究会との共催、新分野の書籍刊行など、さらに発展させていきたい」と示す。
  • 今月、初の英語圏としてシドニー大会を開催。外国人研究者を中心にマクロの視点からの発表が多かったという。「啄木研究者は、どちらかというと啄木を絶対視したミクロの発表になりがち。時代背景や思潮、文化現象、異なる言語文化から啄木を捉えるというマクロの視点からの研究は、今まであまり行われていなかった。啄木は『再発見』されるかもしれない、という期待を抱いた」と成果を強調する。
  • 「研究者だけの狭い世界に閉じこもってばかりではいけない。国際啄木学会も、一般の方をどのように取り込むかが課題」。
  • 「啄木は情念、情熱の人。短歌を数日で200首以上詠んだり、日記を400字詰め原稿用紙で1日に18枚も書くなど、集中力は並大抵ではなかった。大志を抱き強いハングリー精神を持ち、正義感に満ちてそれに向かって批判的に行動できる人だった」と人物像を解説する。
  • 「生涯を啄木に費やしてしまった感じだが、それでもまだまだ魅力は尽きない」。石川啄木の生誕130年を来年に控え、会の先頭に立ち、盛り上げていく構えだ。(学芸部・阿部友衣子)

 (いけだ・いさお  明治大学政治経済学部・同大学院教養デザイン研究科教授 今年から国際啄木学会会長)

(2015-09-22 岩手日報
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