〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木資料展 & 映画『石川啄木~負けん気強がり~』9/14~11/18

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[ケイトウ]

 

企画展
 第33回 啄木資料展
「第72回読書週間」(10月27日~11月9日)に合わせ、過去2年の間に当館が新たに収集した石川啄木関連資料を一堂に集めて展示します。

  • 平成30年9月14日(金曜日)~11月18日(日曜日)
  • 会場 アイーナ4階 岩手県立図書館 企画展示コーナー

企画展「第33回 啄木資料展」|岩手県立図書館

  

 図書館映画会【第33回啄木資料展関連上映】

  • 日時 平成30年10月28日(日曜日) 13時30分開場/14時00分開演
  • 会場 アイーナ4階 岩手県立図書館 ミニシアター
  • 上映作品 『石川啄木~負けん気強がり~』カラー 40分

石川啄木の後半生は、貧乏、借金、質屋通いの連続と病気との闘いだった。しかし、彼は生涯明るさとのびやかな精神を失うことは無かった。
“負けん気”で“強がり”の“自称天才”啄木少年が、ついに人から天才詩人と呼ばれるまでの過程を啄木の短歌・評論・小説・日記などを引用しながら紹介する。

映画会のご案内|岩手県立図書館

 

交通安全 啄木に影響を与えた晶子の「君死にたまふことなかれ」

風土計

  • 秋の全国交通安全運動が実施中だ。本県でも例年、交通関係者が、のぼり旗などで啓発を繰り広げる。
  • 道路で見かける看板で気になる存在がある。「君死に給ふ(う)ことなかれ」と書かれたもので、安全啓発に相違ない。
  • 浅学のため、何かの教えからの引用かと思っていたが、著名な詩があることを知った。石川啄木に影響を与えた歌人与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」は、1904年に始まった日露戦争時に詠まれた。
  • 最大の激戦地に投入されたと思われる弟の生還を祈った詩だが、反戦こそがモチーフとの見方もされ、「乱臣賊子」の批判も出た。しかし晶子は、無事に帰還することを祈る家族の当然の気持ちを表現したのだ。
  • 無事に帰るはず-。そんな当たり前の日常を奪うのが輪禍だ。悲劇を招く無謀な運転をすることなかれ、と改めて訴えたい。

(2018-09-22 岩手日報

www.iwate-np.co.jp

 啄木コンサート 盛岡 岩山展望台 9/29


◎ 啄木コンサート
   啄木が愛した岩手山と盛岡を望む
    啄木短歌による歌曲の[望郷と愛]の世界


岩手山と盛岡の絶景から岩手一の夜景の移り変わりをご覧いただきながら、啄木の歌曲をお聴き下さい。ドリンク付でお気軽にお楽しみいただけます。オール啄木、解説付きで進めます。「初恋」の生まれた場所、函館市大森浜の砂も触っていただけます!ご来場お待ちしております。(田中美沙季)

  • 2018年9月29日(土)17:30 開演(17:00 開場)
  • 会場 岩山展望台 “喫茶 GEN・KI”

   岩手県盛岡市新庄岩山15-52

  • チケット 2000円(1ドリンク付き)
  • ソプラノ 田中美沙希  ピアノ 井上彩花
  • 演奏予定曲

  初恋、友の恋歌、ふるさとの空、たはむれに
  春まだ浅く、ふるさとの山に向かひて  ほか



 啄木の「なつかし」断絶の感情

「現代短歌むしめがね」

 ふるさとの訛なつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きにゆく
   石川啄木『一握の砂』(1910)
     山田 航(歌人

  • 石川啄木のこの歌に詠まれている「停車場」が現在のJR上野駅を指していることはけっこ う有名であり、実際に上野駅の構内に歌碑が建てられている。啄木は周知の通り岩手県盛岡市の出身であるが、明治時代の上野駅というのは東北や北陸などの北 日本から上京してきた者が必ず降りることになる、東京の玄関口だった。
  • 東京に経済や文化の拠点が集中するようになり、そして北日本にはまだ貧困にあえぐ寒 村が多かった時代である。上野駅は「夢への第一歩」という象徴性を担うこ とになってしまった。啄木もまた、故郷を追われるように出奔して詩人の夢に賭けることになった境遇の象徴が「停車場」に託されているのである。
  • 近現代の日本は鉄道の時代であり、鉄道とともに都市文化も形成されてきた。鉄道網は都市と地方の隙間を埋めるかのようにみえながら、実は両者の奥底に断絶をもたらした。啄木の「なつかし」は単なる郷愁ではなく、取り戻せなくなったものへの断絶の感情である。「停車場」への視線は、まさに未来を見通 していた。

(2018-09-18 週間読書人)


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 函館大火に遭った啄木の資料を見て 8時間後…

備えあれば

  • 6日午前3時すぎ、枕元の携帯電話に、7年前の東日本大震災の発生後に何度も聞いた嫌な着信音が鳴り響き、妻と共に目が覚めた。画面には「緊急地震速報」の文字。すぐに激しい横揺れがやってきた。テレビをつけて震源地を確認していると、停電になった。
  • 北海道旅行は2年ぶり。滞在先ホテルの防災意識の低さには驚いたが、自らの油断も痛感。普段は常に持ち歩く小型ラジオを忘れてきた。5日に函館市文学館で函館の大火に遭った石川啄木の資料を見て8時間後の地震発生。「備えあれば」を再認識した。(スポーツ部次長 薄葉茂)

(2018-09-20 河北新報


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 啄木は平易でわかりやすい ほとんど暗唱した

蔵書拝見
 市田忠義氏/上 「新編 啄木歌集」 叙情性・革新性に共感

  • 10歳のころに父が亡くなり家は貧しかった。新聞小説や短歌が好きだった母の影響で自分も文学に興味を持つようになった。
  • 石川啄木にひかれたのは、中学校の国語の授業がきっかけだ。「たはむれに 母を背負ひて そのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず」を読んだと思う。情緒豊かで情景が浮かぶような啄木の詩をすぐに気に入った。当時は本を買う余裕がなく図書館に通い詰めていた。歌集「一握の砂」「悲しき玩具」を借り、合計745首をほとんど暗唱できるぐらい何度も読み返した。今でも50首ぐらいは問題ない。
  • 啄木は平易でわかりやすい。当時は甘酸っぱいロマンチシズムに浸っていたからぴったりだった。中学・高校は野球一筋だったが、「やはらかに 積れる雪に 熱てる頬を 埋むるごとき 恋してみたし」とか思い浮かべながらじゃ強くなるわけがない(笑い)。(市田忠義氏 日本共産党副委員長)

(2018-09-18 毎日新聞 東京朝刊)


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 啄木の歌は バカバカしいくだらぬ歌の方が多い 若山牧水


[コムラサキシキブ]


「風土計」

  • 若山牧水が友人・石川啄木の歌を評した一文は、なかなか面白い。「バカバカしいくだらぬ歌の方が多い」「どこがいいのか解らないようなところに彼の偉がある」。
  • けなしているのか、褒めているのか。こう牧水は言っている。「歌を作るぞ」と啄木が構えて詠んだ作はつまらない。むしろ独り言を言うように、正直に、自然にあふれ出たものは「実にいいのがあるのである」。
  • 17日に没後90年を迎えた牧水は、臭みのある歌を嫌った。臭みとは気取ったり、てらったり、独りよがりの歌を指す。「歌を作るぞ」と構えるのではなく、感じたままを詠む。表現の際は「正直」こそ大事とした。
  • 「正直に詠まなくては駄目だ。幼稚だと思はれても構はない」「兎(と)に角(かく)、正直に、素直に詠むべきである」(「短歌作法」草稿)。

(2018-09-18 岩手日報


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 啄木に関する7つのシナリオを巡る 秋田県鹿角市


[ヒガンバナ]


啄木の縁の地を巡るミニツアー 鹿角市

  • 歌人石川啄木と鹿角のつながりを知ってもらおうというミニツアーが、15日に鹿角市で行われました。
  • 啄木は、曾祖母が鹿角市毛馬内の出身で、また母のように接した姉が小坂町に嫁ぐなど、鹿角とつながりをもつとともに、ちなんだ作品も残しています。
  • 啄木に関する7つのシナリオにふれつつ縁の地を巡る形になっていて、啄木について調べている尾去沢尾去の村木哲文さんの説明を受けつつ、10か所あまりを訪れました。
  • 「啄木と妻、節子」のシナリオでは、錦木にある名所「錦木塚」を一行が訪れ、啄木が両親に結婚を反対された経験があったからこそ、鹿角の悲恋の伝説「錦木」に興味をもち、それにちなんだ歌をつくったのではないかと説明を受けました。
  • 参加していた鹿角市浜田の70代の女性は、「啄木と鹿角のつながりがたくさんあることは、素晴らしいことだと思います」と話していました。

(2018-09-15 鹿角きりたんぽFM)


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 『評伝 平出 修 而立篇』鉄幹・晶子や啄木、鴎外との交流


[ヤマボウシ]


『評伝 平出 修 而立篇』

  塩浦 彰 著/ 新潟日報事業社


言論の自由と平和を奪われること―
その非情さを知らない世代へ
いま、伝えたい人物

  • 1910年に起きた「大逆事件」弁護人として知られる平出修。 「法律と文学」二筋の路(みち)を歩んだ、新潟出身の弁護士・文学者、その29歳までの前半生をたどる1冊。
  • 與謝野鉄幹・晶子や石川啄木森鴎外との交流、また、思想・言論弾圧にあらがい人権問題に取り組む直前までの成長期を描く。

「評伝 平出 修 而立(じりつ)篇」

  • 著者 塩浦 彰
  • 発行 (株)新潟日報事業社 1,500円(税込)


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