蔵書拝見
市田忠義氏/上 「新編 啄木歌集」 叙情性・革新性に共感
- 10歳のころに父が亡くなり家は貧しかった。新聞小説や短歌が好きだった母の影響で自分も文学に興味を持つようになった。
- 石川啄木にひかれたのは、中学校の国語の授業がきっかけだ。「たはむれに 母を背負ひて そのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず」を読んだと思う。情緒豊かで情景が浮かぶような啄木の詩をすぐに気に入った。当時は本を買う余裕がなく図書館に通い詰めていた。歌集「一握の砂」「悲しき玩具」を借り、合計745首をほとんど暗唱できるぐらい何度も読み返した。今でも50首ぐらいは問題ない。
- 啄木は平易でわかりやすい。当時は甘酸っぱいロマンチシズムに浸っていたからぴったりだった。中学・高校は野球一筋だったが、「やはらかに 積れる雪に 熱てる頬を 埋むるごとき 恋してみたし」とか思い浮かべながらじゃ強くなるわけがない(笑い)。(市田忠義氏 日本共産党副委員長)