啄木研究の可能性探る 国際啄木学会東京セミナー
国際啄木学会(会長・池田功明治大教授)は、東京都千代田区の明治大で2019東京セミナーをこのほど開いた。専門家が啄木研究の「この10年」「これから」をテーマに討論し、今後の課題や啄木研究が持つ豊かな可能性を検討した。
パネルディスカッション「啄木の総合的研究と受容」
- 河野有時(東京都立産業技術高等専門学校教授)さんは、近代文学史研究の課題を「個別の研究は進んでいるが、それが絡み合って大きな世界をつくれていない」とし、「文学史のいろいろなところに顔を出している」啄木には文学史再生の可能性があると指摘。
- 森義真(石川啄木記念館館長)さんは、結婚式欠席の理由、宮崎郁雨と「不愉快な事件」など啄木を巡る「謎」の解明や、啄木の影響を受けた文学者側からの研究など、さらなる深化が求められる話題を提示。
- 西連寺成子(明治大学非常勤講師)さんは、新たな成果が期待できるジャンルとして「人々に政治的な影響を与えうる新聞記者という職業は、啄木に大きな影響を与えた。モダニズム分野では、文化が果たした政治的機能に注目する研究を活用することで、啄木論がさらに新しいものに開かれていく」と論じた。
(2020-02-04 岩手日報)