〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 完成!定本『悲しき玩具』啄木研究100年の集大成


 『悲しき玩具』一握の砂以後 (四十三年十一月末より)
    石川啄木 著・近藤典彦 編 桜出版 2017年11月25日発行






編者・近藤典彦氏「解説 悲しき玩具」より

  • 『悲しき玩具』は、勤め人の日常(たとえば出勤、サボり、夜勤=残業帰り等)の歌、また勤め人の家庭生活(大晦日、正月、飲酒等)の歌、印象的でもある病臥の歌、そして愛児京子をうたう父親としての歌、妻をまた夫婦の関係をうたう歌等々。
  • 短歌の世界にこうした日常生活詠を創り出したのはおそらく啄木の功績であろう。






編者・近藤典彦氏「あとがき」より

  • このたびの『一握の砂』・『悲しき玩具』は、定本化を目指しました。そしてそれが基本的に実現したと自負しております。
  • 啄木文学の最高傑作『一握の砂』を読んだ方は『悲しき玩具』に向かわれるでしょう。『悲しき玩具』には「白鳥の歌」二首があります。「白鳥の歌」とは、「白鳥が死の前に歌うと言われる美しい歌、転じて作曲家や詩人の最後の作品」のことです。わたくしは「悲しき玩具」の最後(補遺(上の写真左側))の二首が啄木の「白鳥の歌」だと思います。
  • この二首を歌ってまもなく啄木は亡くなりました。そして「悲しき玩具」もこの二首で終わります。
  • しかし本書の場合一つの歌集の終わりは、もう一つの歌集の始まりを孕んでいます。歌人石川啄木の誕生を告げる歌々すなわち「仕事の後」が始まります。
  • 「仕事の後」は生き生きと啄木短歌の変遷・発展の様子を知らせつつ、『一握の砂』に向かいます。だから「仕事の後」の終わりはそのまま『一握の砂』の始まりなのです。
  • こうして二冊は「白鳥の歌」二首をいわば死と再生の枢(くるる)として不滅の連関を孕んだのです。心ゆくまで二冊を楽しんでください。

 『悲しき玩具』一握の砂以後 (四十三年十一月末より)
    石川啄木 著・近藤典彦 編
桜出版 2017年11月25日発行 1000円+税
桜出版 電話. 019-613-2349 FAX. 019-613-2369
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