〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 啄木は小説家になりたかったのになれなかった日本を代表する歌人


[夏の紅葉]


「『雲は天才である』石川啄木著」 [本よみうり堂 読売新聞]

  • 啄木は、小説家になりたかったのになれなかった、日本を代表する歌人である。自負心がすこぶる高く、若き日には〈近刊の小説類も大抵読んだ。夏目漱石島崎藤村二氏だけ、学殖ある新作家だから注目に値する。アトは皆駄目〉と書いたが、結局、小説家としては大成しなかった。
  • 故郷・渋民村の小学校教員時代に書き、〈日本一の代用教員〉という有名な文句が出てくる表題作をはじめ未完作や没作品が多く、金になったのは新聞連載の「鳥影」ぐらい。その屈辱感をぶつけた短歌が、文学を革新した。

 〈非凡なる人のごとくにふるまへる/後のさびしさは/何にかたぐへむ〉
講談社文芸文庫 1700円)(鵜)
(2017-06-28 読売新聞)


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