<日報抄> 新潟日報
- 石川啄木の短歌〈ふるさとの山に向ひて/言ふことなし/ふるさとの山はありがたきかな〉に、作曲家の平井康三郎が曲をつけた「ふるさとの」という歌曲がある。今年、上越教育大の大学院生が披露したこの曲のソプラノ独唱が、いまでも耳に残っている。
- 歌ったのは北岡瑞枝(きたおかみずえ)さん(54)。30年間高知県の公立中学で音楽教諭を務めた。どうしても、もっと歌を勉強したいと2013年3月に退職。退路を断って上教大大学院を受験し、合格した -50歳を過ぎてからの新たな挑戦である。将来を考えれば、たやすい決断ではなかったはずだ。
- やりたかったバッハの研究に取り組む日々だ。講義の合間にバイトもこなした。慣れない雪国暮らしを嘆く暇もなかっただろう。来春、修了を迎える予定だ。その後の進路はまだ決まっていないが「学び」への意欲はますます高まっていると語る。
(2014-10-27 新潟日報)
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