〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

大澤真幸『啄木を通した9.11以降ーー「時代閉塞」とは何か』---石川啄木関連・大学入試問題 2007年


[スノウドロップ]


神戸学院大学 入試問題 2007年

◎ 次の文章は、大澤真幸『思想のケミストリー』<啄木を通した9.11以降ーー「時代閉塞」とは何か>の一部である。これを読んで、後の問に答えよ。

論文「時代閉塞の現状」に対しては、しばしば、大逆事件の影響が指摘される。だが、(ア)[啄木]が、それ以前にすでにネーションに対して強い違和感を覚えていたと思われるということを考慮に入れれば、われわれとしては、むしろ、こう見るべきであろう。大逆事件は、ネーションが桎梏として成立していたという事実をあぶりだすきっかけ(機会原因)となったのだ、と。大逆事件が、既に起きてしまっていること(ネーションの成立)を(イ)させる触媒となったのである。
だが、それにしても、(ウ)[ネーション]が「閉塞」として感じられたのはなぜなのか? 社会的紐帯が、あるいは他の客観的な条件が、個人の行動を拘束し、規定するということは一般的なことであって、ネーションに限った問題ではない。啄木が、ネーションを取り立てて大きな桎梏と見なしたのは、なぜなのか?
(後略)

問1 (ア)[啄木]の歌集を、次のA〜Eの中から一つ選べ。
   A みだれ髪  B 一握の砂  C 赤光  D 桐の花  E 鍼の如く

問2 (イ)に入る最も適切な語句をA〜Eの中から一つ選べ。
   A 象徴化  B 顕在化  C  絶対化  D 抽象化  E 相対化

問3 「(ウ)[ネーション]が「閉塞」として感じられたのはなぜなのか?」とあるが、その理由の説明として最も適切なものを、次のA〜Eの中から一つ選べ。
A ネーションは原理的には選択可能なものであるはずなのに、実質的には選択が既に終わってしまった選択不可能なものとして受け取られているから
B ネーションを成立させている客観的な条件が、個人の自由を保障するものとしてではなく、個人の行動を拘束し、規定するものとして認識されているから

C ネーションは実質的には選択に対して開かれていないものの、原理的には開かれているということを、そこに所属している人々が意識していないから

D ネーションは、メンバーがみな匿名のままで所属しており、主義や信条が所属の条件にならないという点で、独特の構造があるから
E ネーションは、愛国心を持っているわけではない無名の人々に対しても、命をかけてネーションのために戦うことを強制するものであるから



(答えは次回に
  問3については、長文の問題をカットしているため、推理して楽しんでください)