2010-10-29 石川啄木 著(P.36〜37)空寝入生呿呻など 『一握の砂』東雲堂版 [ヒノキ] 我を愛する歌 (P.36) 空寝入生呿呻など なぜするや 思ふこと人にさとらせぬため 箸止めてふつと思ひぬ やうやくに 世のならはしに慣れにけるかな <ルビ>空寝入=そらねいり。生呿呻=なまあくび。 (P.37) 朝はやく 婚期を過ぎし妹の 恋文めける文を読めりけり しつとりと 水を吸ひたる海綿の 重さに似たる心地おぼゆる <ルビ>海綿=かいめん。