〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木をしのぶ短歌大会 盛岡  朝日新聞


[アケビ]


岩手)石川啄木をしのぶ短歌大会

  • 生誕130年を迎えた石川啄木をしのぶ第32回啄木祭短歌大会が1日、盛岡市の渋民公民館であった。151首の応募作品から、優秀賞、選者賞が選ばれた。(敬称略)
    • 啄木祭賞=「しばらくは空にとどまり鳴く雲雀もの落つるごと畑に下り来」斉藤玲子(滝沢市
    • 盛岡市長賞=「米余る世に存へて今年また育苗ハウス一棟を増す」菊池トキ子(奥州市
    • 歌人クラブ賞「千年の杉の林の重き影かさねて毘沙門堂の昏れゆく」鎌田昌子(花巻市
    • 朝日新聞社賞「一族のみ墓連なる山の辺の父の墓処をつひに移さず」三浦公朗(花巻市

(2016-05-02 朝日新聞>岩手)

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第32回啄木祭短歌大会 渋民・玉山で 岩手日報

5月1日、啄木祭短歌大会が盛岡市玉山区の渋民文化会館で開かれた。望月善次岩手大名誉教授による記念講演「啄木短歌の凄さ」も行われた。

   八十の選択ひとつ惜しみつつくるまの免許まづは手放す (盛岡・上野和子)

  • 選者賞 

  赤澤篤司選
   紅葉なすわたらせ渓谷目にしつつ古き足尾の駅に降り立つ (北上・川辺邦子)
  菊澤研一選
   無家畜の農家となりて野を行きぬ左右に杖をもちかえながら (奥州・安部譲)
  佐藤怡當選 
   いっぱい哭きましたから
   もう大丈夫です
   家族を流された老母から
   梅一輪の
   絵手紙  (紫波・山田武秋)

(2016-05-03 岩手日報
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展望台 岩手日報

  • 石川啄木に会う機会があったら、どんなことを聞きたいですか?」先日開かれた啄木忌前夜祭で、聴衆の一人が小学生から大学生までのパネリストに問うた。「夢を追い続けるにはどうしたらいいのか」「今の17歳についてどう思うか」などの回答が飛び出した。
  • 啄木の人生を振り返る企画を担当しているが、数々のターニングポイントで「もしも〇〇だったら」と考えずにはいられない。
  • 「歴史に『もしも』はない」というが、無数の運命の分かれ目の中で、啄木の道は一本しかなかった。26年の生涯を完全燃焼させたからこそ、死後100年以上たってもその作品や人生は私たちの胸を打つのだろう。
  • 優れたジャーナリストでもあった啄木に、私はこう聞いてみたい。「今の世の中を見てどう思いますか」と。(阿部友衣子)

(2016-04-30 岩手日報>展望台)

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有意義な「夜のとしょかん」 岩手日報

  • 数年前に開館した紫波町図書館で、「夜のとしょかん」という催しがあった。「生誕130年 啄木と紫波の人々」というテーマで、石川啄木記念館長と地元出身の出版社代表取締役を迎えての講話であった。
  • 啄木の短歌は、旧制中学の教科書から現代に至るまで数多く採用されているという。
  • 会場は講師と参会者が一体となり、大変盛り上がった。書架を目の前にした読書ロビーでの開催はムードも上々であった。(紫波町 佐藤国雄)

(2016-04-28 岩手日報>声)
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石川啄木を歌で伝える ソプラノ声楽家・田中美沙季さん /岩手

いわて人模様

  • 「ふるさとの 山に向かひて 言ふことなし−−」。故郷の偉人、石川啄木の短歌を、ピアノの曲に合わせ澄んだ声で優雅に歌う。高校を卒業後、東京の国立音楽大に進みオペラを勉強する日々、東日本大震災が発生。雫石町の実家の家族とは1週間後に連絡が取れたが、コンサートが中止になるなど周囲は自粛ムードに包まれた。
  • 2012年3月。震災後、初めて岩手で歌うことになった。地元の人がなじみやすいようにと、啄木が作詞した「初恋」を歌うと、大勢の人が喜んでくれた。それから、啄木を歌うようになった。2014年、祖父母の勧めで、盛岡市石川啄木記念館を訪れた。そこにいた来館者に「歌を聞いてみたい」とせがまれた。少し気恥ずかしかったが、アカペラで「初恋」を歌う。気付くと、涙を流して聞いてくれていた。
  • 今は啄木のレパートリーも40曲に増えた。啄木の「作品の奥底に必ず希望を感じる」という。歌集「一握の砂」に収められた「はたらけどーー」の歌も「この手があれば、まだ頑張れるって思ったかもしれない」と話す。「啄木は手を見た。私は歌の音色で心に何か届くものを伝え、岩手の文化、芸術に貢献したい」。今年は啄木生誕の130周年。秋には盛岡で記念コンサートを開く。【藤井朋子】

(2016-04-28 毎日新聞

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