〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「はうきぼし王座につかずかの虚空翔る自在を喜びて去る」啄木

クスノキ

撮りためた星の写真15点 盛岡市下田の阿部一さん 啄木の短歌を添えて Lachsで21日まで展示 

  • 盛岡市下田の元小学校長、阿部一(かつ)さん(91)の「星の写真展」が、同市芋田上武道135の10のレストランLachs(ラックス)で開かれている。阿部さんが1970年代から撮りためた星の写真に、天文が詠まれた石川啄木の短歌を色紙に書いて添えた。21日まで。
  • 阿部さんは教員を退職後、翌年4月から旧西根町(現八幡平市)の天文台に12年間、勤務した。展示したのは、数多くの写真から選んだ15点。
  • 1976年3月5日の早朝、渋民駅前から姫神山方面を撮影した「ウエスト彗星」には、啄木短歌
    「はうきぼし王座につかずかの虚空(こくう)翔(かけ)る自在を喜びて去る」
    (1907・明治40年11月6日、小樽日報)を添えた。
  • 阿部さんは「ほうき星(彗星)は、星座の中に入らずに大空を自由自在にかけることができて、うらやましい限りだ」と解釈。
  • 皆既日食を撮影した写真には、
    「青草の床ゆはるかに天空の日の蝕(しょく)を見て我が雲雀(ひばり)病む」
    (明治四十一年歌稿ノート「暇ナ時」より)の一首を添えた。
  • 阿部さんは、啄木の母校で後に代用教員として教壇に立った渋民小にも勤務。財団法人石川啄木記念館の理事を務めるなど啄木顕彰に励み、同館のボランティアも務めた。
  • その間、調べた啄木短歌は4218首で、うち203首に天文現象などが詠まれていたという。古里の渋民村を舞台にした「鳥影」などの小説や詩にも天文に関する表現が多くあった。

(2023-05-03 盛岡タイムス)

 

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