〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「ふるさとのなまり」は ちっとも聞こえやしない

カエデ

14色のペン

方言考 西郷隆盛勝海舟は、どんな「共通語」でしゃべった?

22日は「方言の日」でした。方言といえば、「ジャンボカッタガ」。初任地にいた20年ほど前、週明けの朝一番に言われたせりふです。どういう意味?? 現代でさえこの調子ならば、昔は他地方の出身者同士、どうやって話したのでしょう。方言にまつわるあれこれをつづってみました。【オピニオングループ・鈴木英生】

  • 「ジャンボ~」発言の現場は、青森県警記者クラブだった。地元紙の記者に言われた。一瞬きょとんとしたら、「あっ、ごめんごめん。髪の毛切った?」。ジャンボは津軽弁で髪の毛、カッタは刈った=切った、ガは「か?」。
  • 津軽弁と南部弁は、同じ単語で意味が違う場合もある。南部弁は、岩手県民も使う。同県出身の歌人石川啄木の「ふるさとの訛(なまり)なつかし停車場の人ごみの中にそを聴(き)きにゆく」は、JR上野駅構内に歌碑がある。とある夕方、碑の前で耳を澄ましたが、人混みは通勤客ばかり。ふるさとのなまりは、ちっとも聞こえやしない。
  • 幕末の1868年には、ほど近い薩摩藩蔵屋敷で、新政府側の西郷隆盛と幕府側の勝海舟が江戸の無血開城を話し合った。標準語も音声メディアもなく、普段ほかの地方の方言を聞く機会が少ない時代だ。意思疎通の困難は、今世紀の青森県内の比ではなかろう。薩摩隼人(はやと)と江戸っ子は、どんな言葉で話したのか?

(2022-10-31 毎日新聞

 

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