自分だけの「物語」を
- 「映画館通り」という、日本でも類を見ない通りが存在する盛岡に生まれ育った僕にとって、映画を好きになるのは少しも不思議なことではありませんでした。物心つかないうちから映画館に行き、パンフレットを眺め、ペンを握っては映画のワンシーンともいえないような絵を描いていました。
- 将来なりたいものはたくさんありましたが、自分で映画を作りたいという思いは大人になってからも捨てられない夢になりました。今年44歳になった僕ですが、自分で映画を作るという夢はいまだにかなえられておらず、向いてないんじゃないか、なんて思いは数え切れないほど感じてきましたが、まだ諦められていません。なぜなら、何かを始めるのに、年齢制限なんてそれほどないからです。
- そんな僕も、30歳から声の仕事を始め、44歳で初めての写真集を出しました。相当遅咲きですし、向いてるか向いてないかは正直まだわかりませんが、新しい景色を見たことによって得たものはとても大きなものだったと感じています。
- 後悔したっていいし、失敗だってたくさんしてください。繰り返しになりますが、あなたの人生を生きられるのはあなただけです。
(寄稿)
浅沼 晋太郎さん(あさぬま・しんたろう) 多摩美術大卒。声優のみならず脚本家、演出家、俳優、コピーライターとして幅広く活動。盛岡市出身の石川啄木と金田一京助を主人公にしたテレビアニメ「啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)」(岩手めんこいテレビで放映中)で啄木の声を担当している。
(2020-05-19 岩手日報)