〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「一握の砂」古里への思いを詠んだ歌がたびたび登場

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「啄木の歌碑めぐりマップ」作成 盛岡商工会議所玉山地域運営協議会

とうほく名作散歩

啄木愛した景色たどる  歌集「一握の砂」盛岡市

  • 雄大岩手山の麓に位置し、北上川に接する盛岡市渋民。歌人石川啄木(1886〜1912年)はこの地で、1歳からの約17年間を過ごした後、20歳から約1年間、母校の渋民尋常高等小学校(現・盛岡市立渋民小学校)で代用教員を務めた。故郷を出た後、北海道の各地を流転し、東京で26年の短い生涯を閉じた漂泊の歌人の歌集には古里への思いを詠んだ歌がたびたび登場する。
  • 啄木が24歳の時に刊行された代表作「一握の砂」。慣れない東京で働く苦労などをつづったこの代表作に、渋民はこう詠まれている。「かにかくに渋民村は恋しかり おもひでの山 おもひでの川」
  • 「妻子の生活費を稼ぐために作品を生み出す過程で、古里の美しい山や川に思いを寄せた。愛や苦労が赤裸々に詠まれているからこそ、多くの人の共感を呼び、今まで愛されてきたのでは」。渋民中心部で1970年に開館し、今年4月に50周年を迎える「石川啄木記念館」の森義真館長は思いを巡らす。
  • 渋民駅では、盛岡商工会議所玉山地域運営協議会が作成した「啄木の歌碑めぐりマップ」を入手できる。同協議会の駒井元幹事長は、「啄木が詠んだ岩手山北上川は、渋民から見た景色だ。マップを見て、多くの人に渋民の町を歩いて自然を感じ、作品の背景を感じ取ってほしい」と話す。(黒山幹太)

(2020-02-15 読売新聞)