〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

〈ぢつと手を見る〉と啄木は嘆いた

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?????    →     ミカン

天声人語)洗えども洗えども

  • 手を洗う回数が日ごとに増えていく。悩ましいのは、どれくらい洗えば新型コロナウイルスを防げるのか、確信が持てないことだ。自分の手や指なのに疑いの目を向けてしまう。
  • 感染症の予防に手洗いが有効なことを知らない人はいまい。しかし医学史をさかのぼれば、そんな常識が広まったのは19世紀も半ば以降のことだ。ハンガリー生まれの産科医ゼンメルワイスが提唱するまで、医師の間にも手洗いの習慣はなかった。
  • 「入館時は手指消毒を」。わが勤務先にもそんな掲示がある。だが入り口に置かれた消毒液を見て考え込む。何人もが触れた容器にウイルスの付着はないか。疑心暗鬼はとどまるところを知らない。
  • 〈はたらけど/はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る〉と啄木は嘆いた。洗えども洗えども十分に清潔かどうか自信が持てない。毎回ぢつと手を見る。

(2020-02-28 朝日新聞

 

(天声人語)洗えども洗えども:朝日新聞デジタル