[クロガネモチ]
正平調 神戸新聞
- 〈気の変(かわ)る人に仕へて/つくづくと/わが世がいやになりにけるかな〉と石川啄木は詠んだ。みなさんの職場はいかがであろうか。そんな人ばかりだ、 と心の声が聞こえてきそうである。
- 啄木の別の歌。〈誰が見てもとりどころなき男来て/威張りて帰りぬ/かなしくもあるか〉。とりえがない、は言い過ぎだと しても時に存在する。なんでそこまで尊大に振る舞えるのかな、という威張りん坊が。
- きょうが仕事納めの人は多いだろう。さらに一首を引けば〈こころよき疲れなるかな/息もつかず/仕事をしたる後(のち)のこの疲れ〉。煩わしい人間関係に鍛えられるのも仕事のうちか。1年間、お疲れさまでした。
- 精を出して働いた足跡を改めて振り返る年の瀬もいい。えっ? とっとと忘れたいって? それもそうか。
(2018-12-28 神戸新聞)