04年聖光学院・本間裕之 背負った福島92校の思い…歴代甲子園キャップ“心のエース”
- あの夏、あの剛腕を忘れない―。夏の甲子園では連日、熱闘が展開されています。今週の「週刊報知高校野球」はこれまでスポーツ報知の甲子園キャップを務め、現在も野球報道に携わるデスクが“心のエース”をそれぞれつづってみました。
- 「ふるさとの訛(なま)りなつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにいく」。ご存じ石川啄木の歌である。私は茨城出身。18歳で上京するまでは相当なまっていた。だから「ひよっこ」のみね子ちゃんのセリフを耳にするたび胸が熱くなり、我が故郷を思うのである。
- 茨城は関東だが、水郡線や常磐線で結ばれ、福島との結びつきが強い。だから聖地でこのエースの福島なまりを聞くたび、青春時代を回想したものだ。04年夏の甲子園で聖光学院を16強に導いた、本間裕之である。魂の剛腕だった。
- 福島大会では計35回を投げ、49奪三振。直球は140キロ前後なのだが、リーチが長く、キレがあった。何より闘争心をムキ出しに打者に向かう姿が素敵だった。
- 試合後、私は本間の帽子のツバに油性ペンで文字が書かれていることに気づいた。よく見ると「他の92校の分も 命を決めて覚悟を決める」と書かれていた。真意を尋ねると、こう答えた。「福島大会で負けた92校の思いも背負って、投げようと思いまして」。(加藤弘士 03、04年アマ野球担当。05、07、08、10年同キャップ)
(2017-08-14 スポーツ報知)
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