〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木は「『強権』に対して一斉に起って宣戦しなければ…」と。


[バラ]


◎潮流 <しんぶん赤旗
 きょうの潮流

  • 「今日(こんにち)我々の中(うち)誰でもまず心を静めて、彼(か)の強権と我々自身との関係を考えて見るならば、必ずそこに予想外に大きい疎隔の横たわっている事を発見して驚くに違いない」。
  • 石川啄木が「時代閉塞(へいそく)の現状」を論じたのは1910年でした。この年、社会主義者らを大弾圧した大逆事件韓国併合が起き、日本は出口の見えない冬の時代に突き進んでいきます。啄木はその閉塞をもたらしているのは、あまねく国内にゆきわたっている強権である、と。
  • 翻っていまの日本はどうか。年金やTPPという国民の暮らしや権利を左右する法案を、国会での数にものをいわせて強行に次ぐ強行。しかも安倍首相みずから「こんな議論、何時間やっても同じ」と、反対意見に耳を貸さない無法ぶりです。
  • 啄木は日本の現実に立脚しながら、「強権」の存在に対して身構え、若者たちに呼びかけました。「我々は一斉に起(た)ってまずこの時代閉塞の現状に宣戦しなければならぬ」。それから1世紀余。いま権力の横暴に抗し、新しい時代を切り開く共同の力はたしかに。

(2016-11-30 しんぶん赤旗