「小社会」 高知新聞
- 石川啄木は「借金魔」だった。金田一京助ら友人知人に借りまくり、重ねた不義理は数知れず。新聞社から前借りした月給は妻子に送るべきところを、すぐさま酒色に使い切る。それで平気の平左かというと、そうではなかった。
- 自分に向けてはさぞかしあざけりの声があるだろう。いつまでたっても老いた親や妻子を呼び寄せられないのが情けない。四方から矢を射られるような気持ちだ。それもこれも自らのだらしない性格を呪うしかない…。
- 債務の返済期限は次々訪れる。一握の砂がさらさらと指の間から落ちるように、時間は刻一刻と過ぎてゆく。
(2015-07-08 高知新聞)
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