〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「僕の家には何もないが、岩手山と北上川がごちそうだ」啄木はそう言った


[カキ]


疲れた心を包む「愛」 おもてなしの歴史と誇り 

  • 「僕の家には何もごちそうはないけれども、岩手山北上川がごちそうだ」

 岩手県のほぼ中央にある渋民(しぶたみ)村で幼少時を過ごした詩人、石川啄木は旧制盛岡中学校時代、友人を故郷に招いてはそう言っていた。

  • 東北は山川だけではなく海岸線にも恵まれている。こうした大自然は古来、芸術家や旅人に霊感(インスピレーション)をさずけてきた。『津軽』の太宰治しかり、40年以上前に書かれた『三陸海岸津波』(原題『海の壁−三陸沿岸大津波』)によって慧眼(けいがん)が再評価された吉村昭もその一人である。

(2013-11-22 産経ニュース)