2011-01-18 石川啄木 著(P.48〜49)友よさは 『一握の砂』東雲堂版 [浪花(ボタン)] 我を愛する歌 (P.48) 友よさは 乞食の卑しさ厭ふなかれ 餓ゑたる時は我も爾りき 新しきインクのにほひ 栓抜けば 餓ゑたる腹に沁むがかなしも <ルビ>厭ふ=いとふ。爾りき=しかりき。 (P.49) かなしきは 喉のかわきをこらへつつ 夜寒の夜具にちぢこまる時 一度でも我に頭を下げさせし 人みな死ねと いのりてしこと <ルビ>夜寒=よざむ。