〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「亡き妻よ 君が触れた砂よ」いのちなき砂のかなしさよ


カンヒザクラ(寒緋桜)】


「亡き妻よ 君が触れた砂よ」万葉こども塾
 柿本人麻呂の歌

  玉津島(たまつしま) 磯(いそ)の浦廻(うらみ)の 真砂(まなご)にも
  にほひて行かな 妹(いも)が触(ふ)れけむ

  • みなさん、砂を体にこすりつけて色を出せますか。近代の歌人石川啄木が「いのちなき砂のかなしさよ」と歌ったほどですから、砂で彩色することなど、ありえないですね。
  • ところが万葉の作者は砂に妻の命を感じました。妻が手をふれたからです。手は命を伝達します。亡き妻と作者との大きな命のつながりが、死を超えます。

奈良県立万葉文化館長・中西進
2009-03-25 朝日新聞 関西 万葉こども塾)