『歌人啄木』 吉田孤羊著 洋々社 昭和48年(1973年)
目次は、「啄木研究の足跡 ─序に代えて─ 」から始まり「あとがき」まで13章となっています。
この中の「啄木と花」の章より、短歌を取り上げた部分を紹介します。
─ 啄木と花の歌 ─ より
【第9回】
⚪︎矢車の花

函館の青柳町こそかなしけれ
友の恋歌
やぐるまの花
・これは啄木がはじめて北海道の玄関、函館の青柳町に新居をかまえて、朝に晩に訪ねてくる若い文学青年達にかこまれて、芸術の話、恋愛の話に時のたつのを忘れていたころのロマンチックな回想。
・ここに現れる矢車の花は、若い節子夫人の心入れで、そうした部屋にささやかな花瓶に活けこまれていたものか、或はひょっとすると、この青柳町の家の前あたりの小さな庭に咲きほこっていたのを取入れたものか、その辺のところははっきりしない。
・先年、函館の青柳町の公園に、この歌を刻んだ歌碑が建てられた。
(つづく)