〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「泣いたらお父さんが心配されると思つて 涙をこらへた」ハンセン病の子どもの患者

新聞書評

2025年3月9日 河北新報

著者 山下多恵子

国際啄木学会理事。日本ペンクラブ会員。日本近代文学会会員。
著書『海の蠍』『忘れな草』『裸足の女』『啄木と郁雨』『あふれる』『かなしき時は君を思へり』 他

表紙

〈 あとがき 〉より

・塔和子という詩人がいます。

・13歳でハンセン病療養所に入所し、83歳で亡くなるまで、70年間をそこで過ごしました。

 

胸の泉に

      塔和子

  かかわらなければ

    この愛しさを知るすべはなかった

    この親しさは湧かなかった

    この大らかな依存の安らいは得られなかった

    この甘い思いや

    さびしい思いも知らなかった

  人はかかわることからさまざまな思いを知る

  (中略)

  ああ

  何億の人がいようとも

  かかわらなければ路傍の人

    私の胸の泉に

  枯れ葉いちまいも

  落としてはくれない

           (『未知なる知者よ』海風社、1988年6月)

 

・「かかわり」を絶たれて生きてきた塔和子が、「かかわりの素晴らしさ」をテーマとした詩を書いたことに、感動を覚えます。

・人は人と出会い、関係を持つから、泉に落ちた枯れ葉が水面に波紋を広げるように、それぞれの中で様々な感情が生まれ、そこに愛や友情も芽生えるのです。

 

 

『さびしさを紡ぐ ハンセン病を生きるということ』
 著者 山下多恵子  出版社 未知谷
 発行 2024年8月15日  定価 2,700円 + 税

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