〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

インタビュー【石川啄木記念館館長 森 義真 さん】

ミモザ

岩手日報 2024-03-30

学芸インタビュー

「渋民との縁をつなぐ」森 義真 さん

 --石川啄木記念館館長を10年間務め 3月31日退任--

 

・記念館が啄木の古里である盛岡市渋民にある意義を見つめ、地域密着の愛される施設にしようと心を砕いた。

・啄木、賢治に触れたのは社会人になってから。

・病がみつかり、入院中、気を紛らわすために手にしたのが伯父であり賢治と親交のあった作家森荘已池の「宮沢賢治の肖像」。読んで心が動いた。「こんな縁があったのか。賢治は自分の先輩だ。啄木もだ」。

・後に愛好者でつくる関西啄木懇話会に入会。同会が刊行する本「啄木からの手紙」に寄稿するため、夏に岩手に帰り、県立図書館で猛勉強。そして、2日間缶詰で文を書いた。
「あの経験が私の基礎になっている。やろうとする道が定まった気がした」

・1993年にUターン。国際啄木学会、宮沢賢治学会イーハトーブセンターなどに所属し、会社勤めの傍ら研究に励んだ。

・2014年に啄木記念館館長に就任。しぶたみ啄木会や商工会といった地元との連携にも注力。館報のほか、「石川啄木記念館だより」を発行。地域向けの紙面「たくちゃんタイムス」は職員の発想で始まった。

・啄木や地域を広く発信した功績により3月、玉山地域芸術文化団体連絡会の芸術文化賞を授与された。

・「今までやれなかったことを手がけていきたい。道はまだまだ続く」と力強く語る。(戸舘大朗)