〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

『佐佐木信綱と短歌の百年』に登場する啄木

カエデ

佐佐木信綱と短歌の百年』三枝 昻之

第一部「明治」の第五章「動き出す信綱」で啄木のことに触れている。

(二)「観潮楼歌会とあけぼの」

明治40年3月30日に森鴎外邸で観潮楼歌会が始まる。

・鴎外が「短詩会」と呼んだこの会を石川啄木は「観潮楼歌会」と日記に記し、その呼称が今に受け継がれている。

・啄木が初参加したのは明治41年5月2日。この日の啄木日記で、森鴎外伊藤左千夫佐佐木信綱などの人物観察をしている。その表現がおもしろい。

・散会後、千駄木の通を帰る様子を信綱が回想して詠う。

夜ふけたる千駄木の通(とおり)声高(こわだか)に左千夫寛かたり啄木黙々と

 

佐佐木信綱と短歌の百年』

著者 三枝 昻之

角川書店 2023年9月発行

価格 3,000円+税