〖 啄木の息 〗

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啄木の親友「金田一京助」とはどのような人?

ノカンゾウ

国語辞典の編纂者で知られる金田一京助とはどんな人?

金田一」と言えば、小説の主人公「金田一耕助」や漫画の「金田一少年の事件簿」などで耳にしていると思います。ですが、もっと身近に「金田一」の名に触れていませんでしたか?

金田一」という名前が耳慣れているのは、作家・溝口正史が推理小説の登場人物を「金田一耕助」としたことによるようです。

さて、名前を拝借された「金田一京助」とはどのような人だったのでしょうか。

 

金田一京助アイヌ語研究

金田一京助は、アイヌ語研究の創始者であり、言語学者民族学者です。親友に石川啄木がいます。

明治15年に盛岡で父・金田一久米之介、母ヤスの長男として誕生しました。
姉1人、弟6人、妹3人の11人兄弟です。

子どもの頃、父の金田一久米之介は、子供たちを寝かしつける時、「源平盛衰記」「平家物語」を語って聞かせていたそうで、後に京助は文学に興味を持つことになります。盛岡尋常中学校へ入学した京助は、さらに文学に熱中し、文芸雑誌に歌を投稿したところ、その歌が与謝野鉄幹の目に留まり、与謝野鉄幹が選者を務める「明星」発行元である新詩社の社友となります。そこで、親友となる石川啄木と出会いました。

明治37年東京帝国大学に入学し、新村出言語学者)や上田万年国語学者言語学者)の講義に魅かれ、言語学科に進みました。当時アイヌ語の日本人研究者がいないということで、上田万年に勧められるままアイヌ語研究を始めます。

昭和6年、京助のアイヌ語研究の集大成となる「ユーカラの研究:アイヌ叙事詩」I・IIが刊行されました。2巻合わせて1458ページの大著です。晩年は筆録したユーカラのノートの和訳注解の仕事に専念しており、これらは昭和34年から「アイヌ叙事詩ユーカラ集」として刊行されました。ただし9巻の訳注中に死去しています。

 

金田一京助と国語辞典

三省堂が新しい教科書指定にあわせて国語の教科書をつくるため、京助・春彦親子に執筆を依頼しており、三省堂「中等国語 金田一京助編」は発刊後から10数年にわたって採択数トップとなった国語教科書でした。それだけ、言語学者として金田一京助は素晴らしかったのだと思います。

(2023-08-05 Middle Edge)

 

啄木の親友、金田一京助とはどんな人?