〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木は「時代に没頭してゐては時代を批評する事が出來ない」と唱えた

オオベニゴウカン

【第68回JA全国女性大会によせて】

"閉塞の時代"こそ旗幟鮮明に 文芸アナリスト 大金義昭氏

昨年末、テレビ番組でタレントのタモリさんが今年を占って「新しい戦前」という言葉を使い、不穏な時代を見事切り取りネットをざわつかせた。今回、第68回JA全国女性大会開催に当たり文芸アナリストの大金義昭氏に寄稿してもらった。同氏も「『時代閉塞の現状』から戦争の足音が聞こえる」として、JAグループに結集する老若男女こそ「歴史に学び『反戦・平和』の鐘を鳴らそう!」と訴える。

 

歴史に学び女性組織の力発揮を

 啄木がしたためた「時代閉塞の現状

  • 20代半ばの石川啄木が「時代閉塞の現状」をしたためた背景には、「大逆事件」で幸徳秋水らの死刑を強行する明治末期の暗い世相があった。日露戦後の軍備増強路線がまかり通り、東京・大阪に社会思想を取り締まる特別高等警察が設置されていく時代だ。
  • この評論で啄木は行き詰まる「自然主義」思潮を批評し、「時代に没頭(ぼっとう)してゐては時代を批評する事が出來ない」と唱え、「嚴密に、大膽に、自由に『今日』を研究して、其處に我々自身にとつての『明日』の必要を發見しなければならぬ」と説いた。間もなく啄木は肺結核で夭折。評論「時代閉塞の現状」は、死の翌年に当たる1913(大正2)年に『啄木遺稿』(土岐善麿編・東雲堂書店)として刊行された。
  • その翌年には第1次世界大戦が勃発。

(2023-01-25 JAcom農業協同組合新聞

 

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