〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

国際啄木学会2022年度 秋の大会開かれる 10/16

国際啄木学会2022年度秋の大会 会場 宮城県大崎市吉野作造記念館」(写真撮影:国際啄木学会 盛岡支部長 山田武秋氏)

国際啄木学会 宮城で秋の大会

 啄木思想 近代との関わり
 多様な観点から迫る

 国際啄木学会(池田功会長)の本年度秋の大会は、宮城県大崎市吉野作造記念館で開かれた。今年は石川啄木の没後110年。講演やシンポジウムを通して、啄木の思想に多様な観点から迫るとともに、近代の社会、文学史にも理解を深めた。

  • 石川啄木記念館の森義真館長は「啄木・賢治・作造・太宰・多喜二~東北人を描いた井上評伝劇から~」と題して、作家井上ひさしさんの作品に登場する東北の作家について講演。徹底的な資料収集によって生み出された5人の評伝劇を列挙した。
  • 啄木詩歌集を韓国語訳した高麗大学グローバル日本研究院のオム・インギョン教授はオンラインで講演。韓国での好意的な反応などを紹介し、国や時代を超えて啄木への理解が深まることを願った。
  • シンポジウムは、吉野作造記念館の小嶋翔研究員、立命館大田口道昭教授、歌人の松村正直さんが登壇。「大正デモクラシー期の文学と思想」をテーマに意見を交わした。
  • 研究発表では、同学会盛岡支部の小林芳弘さんが「啄木伝記研究を見直す ~『借金メモ』について」と題し、新たな啄木像を示した。
  • 盛岡大4年の坂野萌恵さんは、同学会初とみられる学部学生による発表。「石川啄木『雲は天才である』論―『分裂』から『混沌』へ―」として持論を論理的に構築し、今後の研究の広がりを期待させた。(文化部・戸舘大朗)

(2022-10-28 岩手日報