〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「砕けてはまたかへしくる大波のゆくらゆくらに胸おどる洋」啄木

バラ

風土計 <岩手日報

  • 「砕けてはまたかへしくる大波のゆくらゆくらに胸おどる洋」。爽やかな秋晴れの日、北上川河口のまち宮城県石巻市のシンボル、日和山公園の一角で、こんな石川啄木の歌碑を見つけた。
  • 標高が60メートル近く太平洋を一望できる同公園。啄木が盛岡中学時代の1902(明治35)年5月、修学旅行で石巻を訪れ長浜海岸を詠んだものだと、古びた木製の説明板には記してあった。
  • 啄木の母なる川は盛岡市を流れる同じ北上川だ。はるか下流にあるまちを訪れ、雄大な太平洋を眺めたときの素直な喜びが伝わり、心に残った。
  • そこから少し離れた場所には、まだ新しい写真パネルが掲示されていた。石巻市内で3千人をはるかに超える人たちが犠牲になった東日本大震災の教訓を伝えるものだ。
  • 青年啄木が「胸おどる洋」と詠んでから120年ほど。この歌人は今なら一体どんな一首を詠むのだろうか。 

(2022-10-09 岩手日報 風土計)