風土計 岩手日報 2022-08-11
- 「汽車の窓/はるかに北にふるさとの山見え来れば/襟を正すも」。望郷の念を募らせた石川啄木と比べるべくもないが旅行や出張帰り、車窓から岩手山が見えるとやはりしみじみとする。
- 慣れ親しんだ風景に心が和み、あるいは背筋がすっと伸びる。多くの人に共通する感覚だろうか。もっともコロナ禍で遠出の機会も減った。流行の「第7波」が押し寄せ、またも医療現場の負荷が高まっている。
- この流行を山に例えるなら早くピークを越えたい。久しぶりに会う古里の親類や友人、旅先の交流の楽しみも行く側と迎える側の安心があってこそだ。襟を正す歌人と趣を異にするが、どうぞ気を引き締めて。
(2022-08-11 岩手日報)