三里史談会「大平山(おおひらやま)」第47号
拓本一発勝負の旅
ー石川啄木の歌碑を追って(その一)ー
岡林一彦
歌碑への拓本挑戦
それぞれの碑の表情を確かめる。
大きさ、碑面の傾き状態。
対峙する場所、スペース。
(中略)
陽射し、風、紙の乾き具合、墨の濃淡・濡れ具合が微妙且つ複雑に絡まる。
最後は、歌碑に刻まれた想いへの自分自身の渾身のパワーをぶつけるだけである。
(中略)
それでも、出来上がった拓本は、今の瞬間を切り取った私の宝物である。
その時刻、その地に立ち、必死に完成までの時間を、そのことのみにそそぎ、挑戦した、二度と再び同じ顔を見せてくれない拓本となる。
それが拓本一発勝負の生命である。
三里史談会会報「大平山(おおひらやま)」
第47号 令和3年3月31日発行
・三里史談会:高知市三里地区とその周辺地域で活動する団体