〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

漱石、藤村、白秋、啄木といった天才が現れ、新しい器に盛るべき料理を作った

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空に真赤な雲のいろ。玻璃に真赤な酒のいろ。なんでこの身が悲しかろ。空に真赤な雲のいろ。(北原白秋

(古典百名山:81)

北原白秋邪宗門」 平田オリザが読む

詩壇に革新、象徴詩を確立

  • 島崎藤村が『破戒』を発表し(一九○六年)、石川啄木が『一握の砂』を刊行して(一○年)小説や短歌の「近代化」がほぼ完成を見た前後、詩の世界でも同様の革新が起こっていた。

   空に真赤な雲のいろ。
   玻璃(はり)に真赤な酒のいろ。
   なんでこの身が悲しかろ。
   空に真赤な雲のいろ。

  • しかし、多くの人々は、そこで何を書けばいいのかが解らなかった。漱石、藤村、白秋、あるいは啄木といった天才が現れて、新しい器に、盛るべき料理を作った。それは張りぼての国家だった明治日本が、曲がりなりにも「近代国家」の体裁を整えていくのと軌を一にしていた。(劇作家・演出家)

(2020-06-20 朝日新聞

 

(古典百名山:81)北原白秋「邪宗門」 平田オリザが読む:朝日新聞デジタル