いわて 物語の風景 ③
心にあり続けた郷里 盛岡・渋民
石川啄木「一握の砂」
- ワクチンなき当時の死病・結核で倒れる前の歌集「一握の砂」は啄木の渋民を味わうにはふさわしい。
やはらかに柳あをめる
北上の岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに
- 石川啄木記念館の森義真館長は「啄木が(住職を罷免された)父一禎の復職運動をした経緯があって、軋轢が生じた人もいる。けれど『自然は温かく迎えてくれる』と思っていたはずだ」と解説する。
汽車の窓
はるかに北にふるさとの山見え来れば
襟を正すも
ふるさとの山に向ひて
言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな
(藤田和明)
(2020-06-04 岩手日報)