[ハゼ]
啄木と文芸環境考察
国際啄木学会 東京セミナー
- 国際啄木学会(会長・池田功明治大教授)は14日、東京都千代田区の明治大で2018年東京セミナーを開いた。明星研究会との共催で、文芸誌「明星」終刊から「スバル」創刊にかけての環境の変化や、取り巻く人々と啄木の関係を考察した。研究者や啄木愛好家ら全国の約80人が参加。
- 与謝野晶子研究に取り組む松平盟子さん(歌人、プチ★モンド代表)は「『スバル時代』は晶子が大変転をしていく重要な時期」と指摘。かねてから晶子に特別な親近感を抱いていた啄木が、日記に「作家を職業とする女の風になつた!」とつづっていることを紹介した。
- 丸井重孝さん(歌人、木下杢太郎記念館)は、一時啄木と疎遠になっていた医師で文学者の木下杢太郎が、大逆事件を契機に再び交流をもったことに着目。社会的なことに興味が薄かった杢太郎に、啄木が影響を与えたと論じた。
- 河野有時さん(都立産業技術高専教授)は「明星を発行していた新詩社は『スバルは機関誌ではない』としている。明星とスバルを論じる上で、新詩社の位置をどう置くかが課題」と指摘した。(学芸部・佐藤瑛子)
(2018-10-17 岩手日報)